夫婦愛を育む 127
女子中学生の思いがけない質問

ナビゲーター:橘 幸世

 ラジオから夏休み恒例の「子ども科学電話相談」が流れてきます。

 理科は基本不得手な私は、ちょっぴり勉強も兼ねて作業をしながら耳を傾けています。子供たちのほほ笑ましい質問に和んだり、専門知識を子供レベルに合わせて説明するのに苦心する各分野の先生たちに心の中で感心したりダメ出ししたり(上から目線ですね)、間を取り持つアナウンサーのフォローにうなずいたりしています。

 先日車で帰宅途中、思いがけない質問にドキッとしました。
 「え? こんな質問が科学電話相談に来るの?」と思わず真剣に聞き始めました。

 中学生の女の子が「なぜ子供が親より先に死ぬと親不孝と言われるんですか?」と尋ねたのです。

 思春期の子が公共の電波で質問するというのは、就学前や小学校低学年の子が親に手伝ってもらってするのと違い、かなり勇気が要ると思います。思い悩んでいるのでは、助けを求めているのではと、とても胸が痛みました。
 この番組は事前に質問を予約する仕組みのようですので、担当者の側も、これは放っておけないと思い、取り上げたのではないか(取り上げてくれてありがとう)と勝手に想像しました。

 担当の先生が、その考え方は儒教に由来することや、生命の尊さ、親の愛について優しい口調で説明します。
 終わって感想を尋ねられた女の子は、「虐待する母親のことを考えました」と答えました。公開問答の、限られた時間で十分に聞いてあげられるはずもありません。これをきっかけに、誰かがしっかりケアしてくれていることを祈るばかりです。

 科学電話相談では、恐竜や宇宙、生物といった理系の分野だけかと思っていたのですが、「心と体の関係」という項目もあることをその後の放送で知りました。

 その日は、小6の女の子が「自分に自信がなくて、失敗するのが怖いのです。どうしたらいいですか?」という質問をしていました。保健体育の枠を超えて、子供たちの悩みにも答えていたのです。

 身近に(おそらく)相談できる人がいなくて電話してくる彼女たち。小さな胸が抱える悩みに心が痛みます。

 自分の中学時代を振り返ると、生きる意味や人間の本質について、幼いなりに真剣に考えていたことが思い出されました。それを誰と話したわけでもありませんでしたが、その時の考え(思い込み)は、善くも悪くも、その後の自分の思考形態の土台をつくったように思います。真理に出合って修正された部分もあれば、未修正のまま残った思考癖もありました。

 関わる側に求められているのは、大人目線で判断しないこと、子供の疑問や悩みに真剣に耳を傾ける姿勢を持つことかと思います。そんな大人が周りにいない子供たちは、さまざまなセーフティーネットのどれかにかかって守られることを願ってやみません。


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