世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

英国、華為(ファーウェイ)製品排除を決定

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 7月13日から19日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。
 ポンペオ国務長官、「中国の南シナ海領有権主張は違法」と明言(13日)。政府、2020年度版防衛白書を閣議で承認(14日)。英国政府、華為(ファーウェイ)製品の排除を決定(14日)。トランプ大統領、香港優遇措置を撤廃へ(14日)。G7サミット成功へ協力、日独首脳がテレビ会談(16日)。安倍首相、日本の豪雨被害に対する文在寅大統領の見舞い電に感謝答電(16日)、などです。

 今回は英国と華為との関係を取り上げます。
 英国政府は7月14日、「5G(第5世代通信システム)」網から「華為」を排除する方針を決定しました。国家安全保障会議(NSC)での議論を経ての決定でした。

 具体的には、来年から5G関連の華為製品の購入を禁止し、すでに導入済みの機器は2027年末までに撤去するというものです。しかし国内では、より早期の「脱華為」を求める声も出ています。

 英国は過去15年間にわたって華為製品を採用してきました。代わりを見つけることは容易ではありません。
 今後、「ファイブアイズ」(諜報に関する協定を結んでいる米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)や、G7にオーストラリア、韓国、インドを加えた民主国家10カ国(「D10」)の枠組みで協力が模索されています。特に日本企業との連携が注目されており、NECとも協議を進める計画です。

 英政府は今年1月、5G網への華為製品の限定使用を容認していました。米政府は英国に対して、情報流出などのリスクを指摘して排除を呼び掛けたのですが、EU(欧州連合)離脱後の英国経済を考慮して判断したのです。

 一転して華為排除を決定した理由について、英・国家サイバーセキュリティ―センター(NCSC)の報告書は、5月に米政府が華為への米製品の輸出禁止措置を強化したため同社製品の安全性を保障できなくなったためとしています。

 しかしジョンソン首相は「潜在的敵対国の企業に重要インフラを支配されたくない」と発言しており、6月末に施行された香港国家安全維持法への懸念と反発が大きな要因となったとみられます。

 華為をすでに排除している国々は、米国、日本、豪、台湾などです。またカナダの通信大手2社はスウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキアと組むと発表しました。さらにドイツの通信大手1社もエリクソンの採用を決定。フランスでも華為製品使用や華為工場の建設を白紙に戻す検討が始まっています。

 共産・独裁国家中国が追求するデジタル覇権から自由民主主義の国々を守る動きが欧州にも広がってきました。