コラム・週刊Blessed Life 118
アフリカは21世紀の新しい時代を担う

新海 一朗(コラムニスト)

 最近のコロナ禍の状況を見ると、5月31日正午の時点で、世界での感染者数が601万76人、死者数が36万8014人となっています。中でも、米国の感染者数は176万9776人、死者数が10万3768人と群を抜いて多く、比率で見ると、世界の感染者数の30%、死者数の22%をアメリカが占めていることが分かります。

 ここで、気になるのがアフリカです。アフリカはどうなっているのか。アメリカやヨーロッパ、ロシア、ブラジルなどが騒がれているのに対して、アフリカの話があまり出てきません。

 調べてみると、アフリカ全体でのコロナ感染者数は、5月31日時点で、14万6270人、死者数は4040人に抑えられています。感染爆発が起きていませんし、死者数も少ないのです。

 これは一体どういうことでしょうか。
 一番大きな要因は、若者が多く、アフリカの人口の60%が25歳未満の若年層であるということです。
 若年層が、コロナに感染しにくいということはよくいわれていることです。老年層よりも若年層のほうが、免疫力が高いということでしょう。

 アフリカは一般的に、保健システムが脆弱で衛生環境がよくないことから、コロナ禍が広がるだろうと予測されてもいいわけですが、圧倒的な若年層がコロナ禍を抑止していると考えられます。

 南アフリカを見ると、感染者数3万967人、死者数611人であり、エジプトは感染者数2万3449人、死者数879人、ナイジェリアは感染者数9855人、死者数261人などとなっています。

 やはり、アフリカの60%が25歳以下の若年層であるという、他の大陸にはない特徴が大きく影響していると考えざるを得ません。
 それは、欧州において、コロナの死者数のおよそ95%が60歳を超えた高齢層であるというデータからも裏付けられるでしょう。

 25歳以下の若年層が多いという人口構成、高温であるという気象条件(コロナは高温条件下では死滅するという実験データがある)、このようなことが、アフリカの感染爆発を防ぎ、死者数を低く抑えている可能性が高いと見られます。

 それだけでなく、実際、南アフリカは3月に国境封鎖や夜間外出禁止令を出し、対応が早かったこと、ナイジェリアでは、州を超えた移動も禁止するなど、アフリカ各国政府の政策効果が見られたことが、感染予防につながっていることも挙げられます。

 少子高齢化で、社会の繁栄と活性度を失いつつある先進諸国(欧米、日本など)、それに対して、若者たちのエネルギーに溢れ、未来に向かって繁栄を築いていこうという希望に満ちたアフリカ、この差がコロナ禍の多い欧米と少ないアフリカという構図を生み出したと見るならば、21世紀、大きな交代劇が先進国と発展途上国の間で起きないともいえません。

 「後の者が先になり、先の者が後になる」(マタイによる福音書 第20章16節)という聖書の言葉がありますが、21世紀のアフリカが先進国がうらやむような発展と繁栄を築き上げる可能性は十分にあります。

 今回のコロナ騒ぎの中で、不思議と「守られている感」のあるアフリカです。その大きな理由はアフリカが未来への可能性を持った「若者大陸」だからです。