青少年事情と教育を考える 115
家庭教育が「ために生きる心」を育てる

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回、若者のボランティア活動についての調査を紹介しました。その続きです。

 ボランティアは普通、「困っている人の手助けをしたい」「社会の役に立ちたい」といった動機で行動します。

 では、そのような「人のために」という動機はどのように育つのか。
 前回紹介した国立青少年教育振興機構の大学生のボランティア活動調査に、一つのヒントになる項目があります。

 大学生が、小学校高学年から中学生の時期に、家庭での「基本的生活習慣(挨拶、朝自分で起きることなど)」や「お手伝い(買い物や料理、家の中の掃除など)」、「家族行事(誕生祝いや季節の行事、家族でスポーツをしたり自然の中で遊んだりするなど)」をどのくらいやったかを点数化したところ、「何度もある」という学生ほどボランティア・社会貢献活動に参加する割合が高いという結果が出ています。

 例えば、小学校高学年の頃、基本的生活習慣の得点が高かった子供が大学生になって自主的にボランティアに参加した割合は41.0%だったのに対して、あまりできていなかった学生は25.3%でした。お手伝いでは37.0%と24.5%、家族行事では35.1%と22.6%でした。

 また小学校の頃に地域での活動によく参加した学生もボランティアの参加割合は40.0%だったのに対して、地域活動にほとんど参加していなかった学生は22.2%でした。

 一方、テレビゲームや読書などでは、こうした違いは見られませんでした。

 「人のために生きる」という素晴らしい心は、家庭での日々の生活、家庭教育の中で土台が育つというわけです。