「幸せな結婚」を考える 3

第1章 今こそ結婚を本気で考える時!
結婚は難しい?<その2>

ナビゲーター:長岡 高史

 結婚がなぜこんなにも難しいのか。その本質をうまく表している物語があります。

 「花嫁になった猫」。ある所に一匹の雌猫がいました。そこへ凜々しい青年が通りかかります。「なんて素敵なかたなのかしら」。雌猫は一目ぼれしてしまいます。「あの人と結婚したい」。その思いは日に日に強くなっていきました。ある日、雌猫は女神様にお願いします。「私を美しい人間の娘に変えてください」。女神様の魔法で美しい娘に化けた猫は、ついに青年の心を射止め、めでたく結婚にゴールインするのでした。

 このお話は、イソップ物語の一つです。猫は青年とめでたくゴールインをしましたが、このお話はこのままでは終わりません。

 幸福な結婚生活を始めたのはいいものの、猫であった時の本性はまるで変わっていませんでした。昼は一日中、寝たまま。掃除をすれば、ほうきで遊びだし、料理をお願いすると、生の魚をお皿に載せて持ってくるだけ。しまいには、台所に現れたネズミを追いかけ回す始末です。温和な青年もさすがに辟易(へきえき)し、「あなたとは、やっぱりやっていけないよ」となるのです。
 悲しいことに、この猫はせっかく青年と結婚できたのに、自らその結婚を手放してしまったのです。 

 この話を聞けば誰もが、「それは当たり前だ」と思うでしょう。せっかく、理想の青年と結婚ができたのに、猫はそれを自ら手放したのですから。
 しかし、この猫の話は、あながち単なるおとぎ話ではありません。実は、私たちの周りにもよくある出来事のようにも思えてきます。
 誰もが「幸せになりたい」と夢見て結婚をします。しかし「結婚さえすれば幸せになれる」わけではないのです。