青少年事情と教育を考える 109
日本の教員のストレスは「事務作業量」と「保護者対応」

ナビゲーター:中田 孝誠

 教員の多忙を解消することが大きな課題になっていますが、日本の教員がストレスを感じることとして「事務的な業務が多すぎること」と「保護者の疑念に対処すること」の割合が国際的にも高いことが分かりました。

 先月、OECD(経済協力開発機構)が公表した「国際教育指導環境調査」の結果です。48カ国・地域が参加し、2018年に行われました。

 例えば、「事務的な業務が多すぎること(書類への記入など)」がストレスだという日本の中学校教員は52.5%で、参加国平均は46.1%でした。

 「保護者の懸念に対処」では、日本は43.5%で参加国平均の32.0%を10ポイント以上上回っています。

 その半面、「採点業務が多すぎること」は25.3%(参加国平均40.4%)、「多大な授業準備があること」も24.1%(同32.9%)で、参加国平均を大きく下回っています。「業務が多すぎる」といっても、「授業関係以外の業務が多い」ことがうかがえます。

 また、小中学校の校長に同じ質問をしたところ、「児童生徒の学力に対して責任を負っていること」が中学校長では61.7%です(同50.1%)。次いで「保護者の懸念に対処すること」が54.6%でした(同43.0%)。
 校長も教員も、保護者対応が大きな課題になっているわけです。

 一方、「保護者は学校の活動に参加している」と回答した校長は59.7%(同47.3%)でした。ただ、「保護者は、児童生徒が良い成績を修めるよう支援している」は55.8%(61.7%)で、参加国平均を下回っています。

 3月に学校の一斉休校措置がとられ、新学期に入っても都市部などで休校が続いています。現場の先生がたは、教育カリキュラムを進めることや、子供たちの心身のケアなどで、これまで以上に負担が大きくなっているといいます。保護者も、先生がたを支援するという気持ちがいつも以上に必要だと思います。