青少年事情と教育を考える 92
急増する小学校での暴力行為

ナビゲーター:中田 孝誠

 10月に文部科学省が公表した児童生徒の問題行動調査では、いじめの増加に大きな注目が集まりました。
 一方で、取り上げられることが少なかったのですが、不登校や暴力行為も深刻です。
 特に目立つのが低年齢化です。小学校での暴力件数は過去5年で3倍以上増加し、今回初めて小学校が中学校を上回りました。

 昨年度、小中高での暴力行為の発生件数は72940件で、前年度より9615件増えました。このうち小学校が36536件(前年度比8221件増)で最も多く、中学校が29320件(同618件増)、高校が7084件(同776件増)です。件数には学校外の暴力行為も含まれていますが、全体で3300件ですので、大半は学校内で起きた件数です。

 また、加害児童生徒数は全体が69319人(同9291人増)ですが、このうち小学校が31107人(同7667人増)でした。内訳を見ても、「対教師暴力」「生徒間暴力」とも、小学校が中学校を上回っています(「対教師暴力」は小学校2742人、中学校2481人。「生徒間暴力」は小学校22056人、中学校263人)。
 ちなみに、いじめの件数も過去6年ほどは小学校が中学校を大きく上回っています(昨年度は小学校425844件、中学校97704件)。

 なぜ小学校の暴力行為が増えているのか。
 一つの要因として、自分の感情をうまく表現できない、コントロールできない子が増えているといった指摘があります。コミュニケーションの能力がうまく育っていない子が増えているともいわれます。幼児期に親からスキンシップを十分に受けることができず、触られただけで相手をたたいてしまうという子もいます。

 また、保育の現場で子供たちを預かる保育関係者の中には、今の保育政策では「親が預ける」ことが優先され、「子供が育つ」という大切な視点が忘れられている、それが小学校に影響していると危惧する声もあります。
 暴力行為の低年齢化現象は、従来の子育て政策に対して再考を迫る問題だといえるかもしれません。