愛の知恵袋 90
心の友をつくりたい

(APTF『真の家庭』209号[2016年3月]より)

松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

友達がいない淋しさ

 ある60代の男性から相談を受けた時のことです。

 「退職後は残された時間を大いに楽しんで生きたいと思っていましたが、今は何か淋しさのほうが大きいというのが実感です。“仕事がない”という空虚さもありますが、そもそも自分には“本当の意味での友達が一人もいない”ということに気が付いて愕然(がくぜん)としました」

 「若い頃はどうでしたか?」

 「学生時代に親しかった友達がいましたが、卒業後は交流がなくなりました。社会人になってからできた職場の仕事仲間も、退職すると付き合いはなくなりました」

 「では、親戚やご近所には親しい人はいませんか?」

 「親戚とは結婚式や法事の時に顔を合わせるぐらいだし、近所に一人だけ親しい人がいますが、たまに話す程度で、親友と呼べるような人はいません」

まず、“親友”と呼べる人をつくろう

 さて、私たち自身は“親友”と呼べる友人を何人持っているでしょうか?

 最近、いろいろな相談を受ける中で、「友達がいない、寂しい」という悩みを打ち明ける人が増えてきました。若い独身の人達だけでなく、中高年の人達からもそんな声が聞かれるのです。

 『人は一人では生きていけない』と言われる通り、やはり人生には“友逹”が欲しいものです。

 そこで、最初に私達が日常の中で会って会話を楽しみ、力をもらえるような親しい友達、つまり“親友”と呼べる人を何人かはつくりたいものです。

 それができれば、多少の心の浮き沈みはあったとしても、過度の孤独感に陥ることなく、前向きに毎日を過ごすことができるはずです。

 では、“親友”をつくるにはどうすればよいのか…それを考えてみましょう。

 その方法は、大きくは二つあります。

 一番早いのは、今すでにいる友達の中から、特に気が合いそうな人、信頼できそうな人を選んで、自分から進んでその人との交わりを濃くしていくことです。

 具体的には、会って話をする回数を増やしたり、趣味を一緒にやったり、一緒にどこかへ行ったり、家に招待したりして、交流を深めていけばよいのです。もし、家族付き合いまでできるようになれば、最高です。

無ければ、“新友”をつくればよい

 しかし、現時点で、交流を深めていけそうな適当な友人もいない…という場合もあります。そんな時は第2の方法、つまり、これから“新友”をつくればよいのです。

 では、どのようにすれば新しい友達をつくれるのか。

 ある心理カウンセラーによれば、人が友達になるには一つの法則があると言います。

 子供の頃を思い出してみればわかるように、スポーツの好きな子はスポーツの好きな子と仲良くなり、音楽が好きな子は音楽の好きな子と仲間になります。つまり、「類は友を呼ぶ」ということです。

 「類」というのは「同類」のことで、「何かが同じ」ということです。何が同じかというと、目的や興味が同じだというのです。確かに、目的が同じ者同士は良き同志になれるし、興味が同じ者同士なら自然と友達になることができます。

 「目的がない」「何にも興味がない」という人には、友達はできにくいわけです。

 従って、“何か目標”をもって活動をすれば、自然と同志が現われ友達になれます。

 また、“何かの趣味やボランティア”のグループに入ってそれを熱心にやれば、自然に同じ趣味の人と友達になっていくことができます。

苦楽を分かち合える“真友”をつくろう

 人生の途上には、失業や経済的困窮、人間関係の悩み、災害や病気、愛する人との別離など、つらいことや悲しいこと、苦しいことがたくさん起こります。

 ある時には、「もう、生きていくのがつらい」と思うことさえあります。

 そんな時に、自分の悩みを全て打ち明けることができ、力を貸してくれるような友達がいたらどれほど頼りになることでしょうか。そんな友達をこそ“心の友”と呼ぶことができましょう。これが本当の“心友であり、心友こそが“真友なのです。

 もちろん、そんな真友を得るには、利害打算を捨てて誠意を尽くさねばなりません。

 『友がなければ、死んだも同じ』……イギリスのことわざです。

 「友がいてこそ喜びがある。知恵のある、信頼できる友人ぐらい貴重なものはない。良い友がないのは、みずからの不徳の証拠である」という意味のようです。

 イギリス人はなかなか親友をつくらないが、いったん親友となったら、とことんまで信頼し合うという気質があると言われます。私達もそんな友を持ちたいものです。