コラム・週刊Blessed Life 85
全てのものは一対をなし、一つが一つに対応する

新海 一朗(コラムニスト)

 「いと高き者の業をながめよ、それらはみな、一つずつ対象がある」という言葉があります。カトリックが正典として扱っている「ベン・シラの知恵(シラ書、集会の書)」の中にある言葉です。「みな、一つずつ対象がある」の意味は、「一つのものは他のものの特性を補う」ことであるという意味の広がりがあるとも考えられます。

 男は女に対応し、女は男に対応する。この対応原則が、結婚となり家庭を営むことにつながっていることは、人類の歴史が証明するところです。

 「ベン・シラの知恵」によれば、男と女の対応関係は、「一つのものは他のものの特性を補う」ことによって成立するわけですから、男は女の特性を補い、女は男の特性を補うという相補関係が必要です。

 「どうして男って、いつもこうなの」とか、「これだから女はどうしようもないなあ」というような言葉が出てくるようでは、相補関係がなく、対応原則も崩れるので、結婚も家庭生活もうまくいきません。

 現在の日韓関係は、悲劇的です。韓国の反日、日本の反韓、特に、政治の土俵では一歩もお互いに譲らない相克関係が続いています。

 世界平和を語る上で、隣国同士のけんかというものほど、深刻なテーマはありません。地球上には、至る所で、隣国同士のけんかが見られます。隣国同士は血のつながりから見ても、近いものがあるわけですから、仲良くするのが当然ですが、不思議にも、そうはいきません。近いが故の憎悪があります。このような問題が地球上を覆っている限り、世界平和は絵に描いた餅です。

 日本の韓国への「ホワイト国」外し、韓国の「GSOMIA(軍事情報包括保護協定)」破棄、そっちがその気なら、こっちはこれだと言わんばかりのやり返しが果てしもなく続いていけば、両国は離婚状態に陥ります。もうこれ以上の関係は嫌だ、だったら別れようという結末です。これに近いような状況に陥っているのが現在の日韓関係です。

 なぜこうなるのか。

 その大きな理由は、朝鮮半島の南北分断です。韓国の政権は、北に対しては親和的(同じ民族だからという情緒)、日本に対しては対抗的(弟分のくせに生意気な、兄貴の韓国に対してもっと謙遜になれという上から目線)、ここに韓国の「親北」「反日」の二つの顔が現れる理由があります。

 もちろん、現在の韓国の文在寅政権が左翼的であるという理由もありますが、根本的には、半島が分断され、思想の違う二つの国があるという状態がややこしい問題を引き起こしている根本的な理由です。

 朝鮮半島(男性格、夫)と日本列島(女性格、妻)が、「一つが一つに対応する」対応原則によって、夫婦のような理想を成し遂げるには、まだまだこれから、長い道のりが必要でしょう。しかし、そこに向かっていく努力を怠らないことが絶対不可欠です。

 地政学的にいっても、助け合って生きていく以外に道がないというのが日本と韓国(統一韓国)の宿命的な関係です。それ以外に答えはありません。