青少年事情と教育を考える 74
スマホの学校持ち込み、現場は反対?

ナビゲーター:中田 孝誠

 学校に携帯電話・スマートフォンの持ち込みを認めるかどうか、文部科学省が有識者会議で議論を続けています。

 同省は2009年1月、携帯電話は「学校における教育活動に直接必要のない物である」として、緊急の場合などを除き、小・中学校への持ち込みを原則禁止にする通知を各教育委員会宛に出しました。そして、学校での情報モラル教育やネットいじめへの取り組みを徹底し、高校では授業中や校内での使用を禁止するよう求めました。

 今回、原則禁止の方針を見直す方向で検討を始めたわけです。大阪府教委が今春、公立小・中学校に持ち込みを認めたことも後押ししたと思われます。
 ただ、教育関係の団体からは、持ち込み容認に難色、あるいは課題を指摘する声が上がっています。

 例えば、全国連合小学校長会は「現場ではSNSのトラブルへの対応などに苦慮している状況があり、携帯やスマホの持ち込みを認めれば、学校はこれまで以上に対応に追われ、教員本来の職務である教育以外の負荷が増えることになる」としています。

 また、携帯電話は各家庭が購入し、保護者の責任で扱いを指導すべきもので、「原則持ち込み禁止」という従来の方針が妥当であるとも述べています。

 全日本中学校長会も「保護者の責任を明確に位置付けてほしい。それにより、はじめて学校との共通理解を図ることのできる状況となる」と述べています。その上で、「学校への持ち込みを許可した場合、学校の管理責任を問われる等のトラブル(授業妨害、プライバシー保護、保管時の課題など)の対応で教員が負担すべき仕事が増加する。その具体的な方策も同時に検討すべきである」と懸念を示しています。

 全国高等学校長協会は、各高校では「授業中に許可なく利用しない、登校時に担任に預ける」などルールを決めているが、一方でネットへの書き込みなど課題が増加しており、利用について保護者の協力が必要と述べています。
 もちろん子供の発達段階によって対応は変わりますが、保護者との協力が最も重要になりそうです。