家族の絆づくり 69
「プラス思考」を望んでも「マイナス思考」になる理由

ナビゲーター:阿部 美樹

あなたはプラス思考? マイナス思考?

 「プラス思考」を持つことは大切だと分かっても、実際には「マイナス思考」になってしまうことが多いものです。

 成功を願いながら、「失敗するかもしれない」「無理かもしれない」「駄目かもしれない」と予感してしまい、結果的にそのようになってしまうのです。

 なぜ、そのような思いが湧いてくるのでしょうか。

 これは過去の失敗の記憶が脳に蓄積された結果だといわれています。脳はこれから起こり得ることを予測し、対策を練っています。失敗すればするほど失敗を予感しやすく、成功すればするほど成功を予感しやすくなるのです。

 問題は、成功よりも失敗の方が記憶に残りやすいということです。

 悪い予感は、身の安全や生命を脅かすような危険を避けるために自己防衛本能が働き、強い記憶となって残り、不快という「マイナス感情」をつくり上げます。
 そのマイナス感情は、全身にも影響を及ぼし、血圧が上昇したり呼吸が速まるといった生理的変化を起こし、イライラするなどストレス状態をもたらしてしまうのです。

「不快」から「快」に転換させるメンタルリハーサル

 うまくいかない人の特徴は、「失敗の記憶データ」⇒「不快の感情」⇒「悪い予感」⇒「失敗」となります。
 反対に、うまくいく人は、「成功の記憶データ」⇒「快の感情」⇒「いい予感」⇒「成功」となります。

 幸いなことに、成功の体験が多くなくても、「メンタルリハーサル」を通して成功の記憶データに書き換えることができます。

 メンタルリハーサルとは、がっかりしたり悲しんでいる「過去の失敗体験」ではなく、笑顔でイキイキと輝いている「成功体験、うれしい体験、絶好調な姿」を思い出して、その場面を具体的にイメージして描くことです。

 何度も繰り返し行えば、そのイメージが強化されて、快の感情が高まるなど変化していきます。さらに、イメージを強化するためには、私を応援してくれる家族や配偶者、上司や同僚、友人などが私の成功を喜んでくれる姿をイメージすることも有効です。

 人は「自分のために」というよりも、自分が大切にしている「誰かのために」と思うと、力を発揮しやすくなるものです。

 「プラス思考」「プラス感情」「プラスイメージ」の三つがそろったウキウキワクワク状態こそ、「よし、やるぞ!」という意欲を高めます。