青少年事情と教育を考える 62
LGBT2.7%」
政府機関が大阪市で調査

ナビゲーター:中田 孝誠

 先日、大阪市でLGBT、性的マイノリティーの人は約3%という調査結果が公表されました。
 国立社会保障・人口問題研究所が大阪市の協力で行った調査で、今年1月、無作為に抽出した18歳から59歳の市民1万5千人にアンケートを送り、4285人から回答を得たものです。

 それによると、性的指向については「同性愛者(ゲイ・レズビアン)」は0.7%、「両性愛者(バイセクシュアル)」は1.4%でした。また、性自認については「トランスジェンダー」が0.7%でした。
 LGBTに該当する人は合わせて115人、全体の2.7%でした。この調査では「無性愛者(アセクシュアル)」と回答した0.8%も含めると144人、3.3%になります。

 LGBTに関する調査は、これまで電通ダイバーシティ・ラボが行ったものが広く知られています。
 この調査によると、LGBTの割合は2015年が7.6%、2018年には8.9%で、実に13人に1人、あるいは11人に1人が性的マイノリティーということになります。

 この調査は調査会社のモニターを対象にしていて、しかもインターネットによる調査だったため、偏りが批判されていました。LGBTをビジネスにする目的で行われたといった批判もありました。

 それでもこうした調査が今までほとんどなかったため、自治体の同性パートナーシップ条例などの施策や学校教育にLGBTの内容を取り入れる際の重要な根拠になってきました。

 ちなみに、文科省が2013年度に行った調査では、自分はトランスジェンダーではないかと相談してきた小中高の児童・生徒は606人、全児童・生徒の約2万人に1人でした。

 また、最近では2018年に名古屋市でも調査が行われ、LGBTの人は1.6%だったという結果が出ています。

 LGBTの人たちへの保護は必要だとしても、問題のある調査を元にした政策決定、特に教育への取り組みがなされれば、大きな混乱を招きかねません。今後の国と自治体の姿勢が問われるところです。