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通いはじめる親子の心 7
親の要求を優先していないか

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第6弾、『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』を毎週火曜日配信(予定)でお届けしています。

多田 聰夫・著

(光言社・刊『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』より)

第一章 子供は「育つ」もの

親の要求を優先していないか
 子供の気持ちに共感できるようになったら、次に、親の気持ちを率直に子供に伝えるようにしてみてください。うれしいのか悲しいのか、喜んでいるのか怒っているのか、実際に言葉で表現するのです。そうすることによって、子供は「こういうときに、お父さんはこんなふうに感じているんだな」と、親の気持ちを感じ取れるようになっていくのです。

 親が子供の気持ちに共感することが大事であるように、子供が親の気持ちに共感することも大事です。つまり共感し合うことです。このことについては、後で詳しく述べたいと思います。

 子供は、親の言葉を聞き、その行動を見ながら、親の動機を敏感に感じ取っています。親は子供のためだと思っているけれども、実は自己満足であったり、自分の怒りや不満を子供にぶつけたりしていることも多いのです。子供は、それを敏感に感じているのです。

 自分が何を優先し、何を価値視しているのか、もう一度、確認してみましょう。自分の心を見つめ、整理してみるのです。自分の心を見つめてみると、子供を見つめる余裕が出てきます。子供を見つめられないということは、自分を見つめていないことなのだと考えてみてください。

 次の三つの質問に答えてみてください。

1.「家族の問題点を箇条書きに挙げてみてください。いくつでも結構です。一分ぐらいでお願いします」

2.「家族に変わってほしいと思う点を箇条書きにしてみてください。一分ぐらいでお願いします」

3.「次になぜ、そのように望んでいるのか、理由を書いてください。一分ぐらいでお願いします」

 どうでしたか? 自分が家族に対してどう思っているのか、何を要求しているのか、分かりましたか。

 この質問の「家族」の代わりに「子供」を入れてみてください。子供に問題点があり、それを変えてほしい、何とかしたいと願っていることが確認できます。

 では、次の三つの質問はどうでしょうか。

 比較的小さな子供の例ですが、子供が小さかった当時のことを思い出しながら、自分のこととして捉えて、心から素直に聞いてみてください。目を閉じてイメージしてください。文章を三つ読みます。自分を省みてください。

①「遊んで部屋をちらかす子供を怒るあなた。楽しく遊んでいる子供の気持ちより、部屋をきれいに保ちたいあなたの気持ちを優先していませんか?」

②「塾に行こうとしない子供に『行きなさい』と言うあなた。子供が勉強ができることで、自分が良い親であると人から認められたいと思っていませんか?」

③「おかずを残す子供に『全部、食べなさい』と言うあなた。子供の気持ちや健康よりも、自分が料理を作った気持ちや、労力を認めてほしいという気持ちを優先していませんか?」

 どうでしたか? 何かを感じることができたでしょうか。子供の気持ちをしっかりと受け止めていたでしょうか? それとも、親としての自分の事情や気持ち、要望を優先していたでしょうか。(続く)

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 次回は、「子供に寄り添う」をお届けします。


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