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愛と人生の道しるべ 43【最終回】
ミニカウンセリング──愛と性の悩み③

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第1弾、『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』を毎週日曜日配信(予定)でお届けしています。

酒井 正樹・著

(光言社・刊『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』より)

ミニカウンセリング
──愛と性の悩み③

Q二年前に熱烈な恋愛をして結婚したのですが、結婚してから、こんなはずではなかったということが多く、はた目には仲良く見えても、何かしっくりとせずに悩んでいます。趣味は旅行で一緒だったのですが、結婚後は主人の仕事が忙しいせいもあって、以前のように一緒に行くこともなくなりました。浮気をしているようではありませんが、帰りも遅く、会話も途絶えがちです。いったいどうしたらいいのでしょうか。

A結婚してからこんなはずではなかったというのは、あなただけでなく、御主人のほうも同じではないでしょうか。結婚する前、いくら好ましく思えても、趣味が同じであっても、二十数年間異なった環境の中で育った二人が生活を共にするようになって、急にうまくいくはずがありません。

 歯磨きの仕方からお金の使い方、料理の好み、感情表現の仕方まで、すべてが違いますから、びっくりすることのほうが多いのです。恋愛時代に相手に描(えが)いていた理想が高ければ高いほど、その落差にショックを受け、夫婦の愛が冷めることになってしまいます。互いに異なる文化の中で生活するようなものですから、そのカルチャーショックをどう乗り切るかが問題です。

 「夫婦は一心同体」という言葉がありますが、これは何十年と連れ添った結果のことであり、まずは他人であることを意識することが大切だと思います。他人と言っても、最も近い他人という意味ですが、自分と違う価値観と人格を持った他人と共同生活をするためには、思いやりや忍耐が必要なのです。これが本当の意味での夫婦の愛情ということになります。

 あなたは恋愛時代の理想や、夫はこうあるべきだというような理想を持っていて、心の奥底では御主人を批判していないでしょうか。人間は、自分が受け入れられているかどうか、敏感に感じるものです。特に男性は女性よりもナイーブで傷つきやすい心を持っていますから、あなたの何げない言葉や態度でショックを受け、心を閉ざしてしまっているのかもしれません。

 人間は人の欠点はよく見えますが、自分の欠点は見えにくいものですから、相手を一方的に批判しがちですが、問題があるのは自分も同じです。相手もあなたの欠点や問題を我慢しようとしているのですから、あなたも相手を許し、受け入れてあげなければなりません。それができる人が、真の意味での大人ということです。夫婦になるためには、実は相手を受け止めることのできる度量、つまり本当の意味での愛情を持った人間になっている必要があるのです。

 結婚生活は、自分の全身全霊をもって相手の幸福のために尽くす生活です。相手の足りない所や欠点を見つけたら、むしろ自分がその穴を埋め、支えてあげようと思えなければならないのではないでしょうか。

 「私の夫は子供みたいで、駄目なところだらけだけど、だからこそ私が必要なんです」と、にっこり笑いながら尽くしてくれる妻なら、夫にとって最もかわいい妻と言えるのではないでしょうか。

 男性は仕事で神経をすり減らし、くたくたになって家に帰ってきます。妻のほうも近所付き合いがあったり、炊事や掃除や育児があって疲れています。お互いに、「ご苦労さま」と、温かい慰労の言葉を掛け合ったらよいでしょう。家庭くらいは、わがままを言ったり、甘えたりできる場でありたいものです。

 ただし、お互いが同時に感情的になったり、わがままを言ったりしないように、どちらかが先に折れることが必要です。「負けるが勝ち」と思ってください。

 この広い世界の中で、一人の男性と一人の女性が出会い、生涯を共にするようになったわけですから、二人の出会いには何らかの運命的な意味があると考えられます。相手が自分にとってふさわしい人だと自分に言い聞かせ、信じて、最愛の夫婦となれるように努力してください。

 夫婦の愛の世界は、二人で育て築き上げていくものです。愛は恋愛感情とは根本的に違うものであり、信頼と誠意によってつくりあげられる着実な世界なのです。来世において再び巡り合う時にも、必ずあなたと夫婦になりたいと思う愛の世界を築いてください。

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 今回で「愛と人生の道しるべ」は最終回です。ありがとうございました。


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