魚谷さんの宗教講座 31

神道編①
神道とは何か

ナビゲーター:魚谷 俊輔(UPF-Japan事務総長)

 読者の皆さまの中には、現在「宗教間対話」の活動に努めていらっしゃるかたも多いことでしょう。
 しかしその際、相手の宗教のことを全く知らずに、自分の言いたいことだけを主張するようでは、対話になりません。相手をよく知り、尊敬する心をもって接してこそ、良き交流が可能になることでしょう。

 さて、日本の主要宗教といえば、なんといっても神道と仏教です。
 今回から、「神道編」をお届けします。仏教については、すでにBlessed Life(ぶれら)で掲載済みですので、「仏教編」(全30回)を併せてお読みいただければと思います。

 日本の伝統宗教の双璧を成すのが仏教と神道ですが、本当の意味で日本の土着の宗教といえるのは神道であり、仏教は長い歴史を持つとはいえ、やはり外来の宗教ということになります。

 神道は日本文化の根底を成すものであり、私たちの生活になじんだものではありますが、その教えの内容について知的に知っているかといえば、専門的に学んだ人でもない限り、その知識は極めて漠然とした曖昧なものではないでしょうか。

 そこで私なりにいろんな本を読んで勉強してまとめたのが、このシリーズです。
 仏教の場合と同じく、あまり難しい専門書を読んでも分かりやすく解説することはできませんので、入門用の易しい解説書を中心に調べました。

 では、神道とはそもそもどんな宗教かについて、基本中の基本から説明します。
 神道は特定の個人が創唱した宗教ではありません。日本の風土から生まれた日本固有の民族宗教です。それは、自然の至る所に神を感じるという、素朴な「自然崇拝」から始まったものです。

 神道は日本人の日常生活に深く根付いており、私たちは初詣などの年中行事、七五三などの人生儀礼、地域のお祭り、家庭における神棚などを通して既に神道を体験しているのですが、それを「宗教」としてあまり強く意識しないこともまた神道の特徴の一つです。

 キリスト教のように誰かから「伝道」されて「回心」することによって信者になるのではなく、生まれた土地の「氏神の氏子」になるという形で自然に信仰を継承することが多いといえます。

 それでは、神道の中心的価値観が何であるかといえば、「清明心(きよきあかきこころ)」です。これは、自然のように清らかで、他人に対して隠すことのない心、神に対しても欺くことのない心、つまり私欲がなく澄み切った、穢(けが)れのない心の状態を指します。

 神道においては、「穢れ」を諸悪の根源として極度に嫌います。ですから、「禊(みそぎ)」と「祓(はら)い」によって穢れを取り除くことが神道の中心的な儀礼となるのです。

(次回に続く)