2026.08.31 22:00

魚谷さんの宗教講座 30
仏教編㉚
現代日本の仏教(2)
ナビゲーター:魚谷 俊輔(UPF-Japan事務総長)
NHK放送文化研究所が加盟している国際比較調査グループISSPの国際比較調査(2018年)が行った現代日本人の宗教性に関する調査結果で、もう一つ興味深いものがあります。
宗教的なものの考え方の中で、「絶対にある」と思う人と、「たぶんある」と思う人の数を足すと、2008年のデータだとこのようなグラフになります。

「祖先の霊的な力」は47%、「死後の世界」は44%、「輪廻転生(りんねてんしょう/りんねてんせい)」は42%、「涅槃(ねはん)」は36%、「天国」は36%、「地獄」は30%、「宗教的奇跡」は17%の人があると思っています。
このように、日本人は「自分は信仰を持っていない」という人が7割ぐらいいるにもかかわらず、宗教的なものの考え方は結構持っているのです。これが日本人の宗教性の特徴ではないかと思います。
ちなみに、2008年のデータでは「輪廻転生」や「涅槃」など仏教特有の用語が挙げられ、それらがあるとする人の割合が高いことが示され、日本人の心の中に仏教的観念が広く共有されていることが確認できたのですが、2018年のデータでは「輪廻転生」と「涅槃」が質問項目から削除されていました。
現代日本仏教の現状を、批判する側面と評価する側面で整理すると、以下のようになります。
仏教に対する批判的な見解としては、①儀礼や形式だけの形骸化した宗教になっている、②現世利益的な祈祷・祈願・呪術ばかりをやっている、③葬式仏教・職業仏教・世襲仏教ということで、代々お寺をやっている家が職業として葬儀をやっているに過ぎない、④都市部に人口が流出することによって、伝統的な檀家(だんか)制度が衰退しており、仏教は崩壊の危機にある――というようなことがよくいわれます。
一方、仏教を評価する見解としては、①それでも日本人はお葬式といえば仏教だし、お墓参りは今でも行われている、②お盆やお彼岸などをきちっとやる人も多く、文化の中にちゃんと生きている、③日本人の死生観には今も仏教的な考え方が大きな影響を及ぼしている、④座禅をしてみたいとか、四国のお遍路さんや札所(ふだしょ)巡りなどの仏教的な修行はいまでも人気があり、そうした行為を通して宗教的な体験をする人もいるので、決して死んではいない――というようなことがよくいわれます。
この二つを総合すると、現代の日本人は既存のお寺とか教団に対しては批判的ですが、人々の心の中には仏教的な考えが残っていることが分かります。そうした宗教性が土台となって、人々が新しい宗教を受け入れる「精神的土壌」になるという形で、日本の仏教伝統は機能しているのではないでしょうか。
ですから日本の新宗教は、伝統教団によって管理されてはいないけれども何となく宗教性を持っている人たちに呼びかけて、その人たちを伝道・布教することによって教勢を伸ばしていったと考えられるわけです。
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「仏教編」は今回が最終回となります。次回からは、「神道編」をお届けします。お楽しみに!