2026.08.19 17:00

共産主義の新しいカタチ 120
現代社会に忍び寄る“暴力によらざる革命”、「文化マルクス主義」とは一体何なのか?
国際勝共連合の機関紙『思想新聞』連載の「文化マルクス主義の群像〜共産主義の新しいカタチ〜」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部による加筆・修正あり)
米流批判理論の見たフロム「母権論」
エーリッヒ・フロム(下)③
フェミニズムのイデオロギーと化す

バッハオーフェンの『母権制論』を援用しながらフェミニズムの考え方を採り入れたフロムでしたが、「原始乱婚制」も「母権制」も実証性を伴わない仮説に過ぎないものでした。
ところが、これに飛びついたのが前回も触れたように、ルイス・ヘンリー・モーガンであり、マルクスとエンゲルスでした。
マルクスのメモを基に書いたとされるエンゲルスの『家族・私有財産・国家の起源』では、「無規律性交(フリーセックス=乱婚)の原始共産主義社会」というものは、バッハオーフェンの説いたのと同じ「母権制社会」でした。「参考文献」でも引用しているように、これは、「(誰かわからない父親よりも)母親が誰かが問われた社会」であったものが、「富の蓄積と増大」につれ、「富の生産に従事する男」の発言力が強まり母権制が転覆した、つまり「母権の転覆は、女性の世界史的な敗北であった」とエンゲルスは言い切っています。
そして母権の転覆で無規律性交社会は崩壊し、男を中心とした家父長的な一夫一婦制の家族制度が出現することになったというわけです。このため、自分の財産を自分の子に相続させるという「男の支配の上に築かれた」のが「一夫一婦制」にほかならないと見ます。
さらにここから敷衍(ふえん)されて、「歴史に現れる最初の階級対立は、一夫一婦制における男女の敵対の発展と一致し、また最初の階級抑圧は男性による女性の抑圧と一致する」「家族の中では夫がブルジョアであり、妻がプロレタリアを代表する」と断言し、今日の「戦闘的フェミニズム」の根本的なイデオロギーとなっているのです。
このようなイデオロギーに植え付けられた先入観に支配されてしまえば、誰しも結婚し家庭を築きたいとは思わなくなるでしょう。
ひいてはむしろ「同性」の方が理解し合える、と思い詰めても不思議ではありません。その意味で、既にマルクス=エンゲルスの時代から「家庭破壊という思想的遺伝子」を共産主義思想が保有していたことにほかならないのです。
確かに、さまざまな歴史的遺物からバッハオーフェンの「母権制」を正当化するような状況は散見されます。それが「地母神信仰」で、欧州でもキリスト教化以前の「異教」時代の遺跡には「地母神」「母性」信仰が見られてきました。ビーナスやイシュタル、ガイア、キュベレー、デメーテル、アルテミス、ナルトゥス、インドのデーヴィなど。
しかし、地母神信仰があったからすなわち母権制社会だという結論は早計です。そもそも、「地母神」に対しては多くの場合、その対概念として「天空神」が存在したからです。「豊饒の神」とされた地母神に対し、天空神は、精神性や創造を司る存在として、遊牧民の間では「父なる天」と見なされたとされます。それは一神教に通じるものでもあり、決して母権制の証拠とはいえないのです。
★「思想新聞」2026年7月1日号より★
ウェブサイト掲載ページはコチラ
【勝共情報】
国際勝共連合 街頭演説
(国際勝共連合 公式チャンネルより)
「安倍元首相追悼:警告! 中国軍事戦略の転換点」2026年7月8日 高田馬場駅