青少年事情と教育を考える 51
海外への留学、「短期」が7割

ナビゲーター:中田 孝誠

 近年、グローバルな人材の育成が願われています。そのため、文部科学省もスーパーグローバルハイスクールを認定したり、「トビタテ留学JAPAN」という施策を打ち出し、7年間で1万人を留学させるプロジェクトを行っています。

 こうした取り組みの効果もあってか、日本から海外に行く留学生は増えています。
 日本学生支援機構が1月に発表した調査結果によると、2017年度に日本から海外に留学した留学生は10万5301人で、前年より8448人増えました。留学先で多かったのは、アメリカ(1万9527人)、オーストラリア(9879人)、カナダ(9440人)、中国(7144人)です。
 別の調査では、中学生・高校生の留学も1万5000人余りで若干増えています。

 特徴は、短期留学が多いことです。「1カ月未満」という学生は6万6876人でした。「1カ月〜3カ月未満」も含めると7万7000人余りで、全体の7割以上を占めています。
 一方で、「1年以上」の人は2022人で、前年度より400人余り減少しました。
 1年以上の留学が減少傾向にあるというわけではありませんが、短期に比べると学位を取るような長期留学は横ばいという状況です。

 グローバルな人材は、アイデンティティーをしっかりと持ち、自国と他国に通じる専門的知識や世界を幅広く見る目を持った人材だと言っていいでしょう。そうした人材をどれだけ育てられるかが問われるわけです。
 ちなみに、日本への外国人留学生は29万8980人(2018年5月1日時点)で、前年(2017年)より3万2000人増えました。これで6年連続の増加です。

 政府は10年前の2008年(平成20年)に「留学生30万人計画」をまとめました。グローバル化の一環として、2020年までに海外からの留学生を30万人受け入れるというものです。こうした計画を進めることで、大学の国際化、優秀な留学生の確保(高度外国人材として日本の企業に就職)などを目指しています。

 留学の状況を通して、国の未来の一端が見えてくるのではないでしょうか。