2026.06.03 22:00

スマホで立ち読み Vol.42
『統一思想へのいざない(原相論編)』 7
木南章良(統一思想研究院首席研究員)著
『統一思想へのいざない(原相論編)』の一部を「立ち読み」でご覧いただけます! 毎週水曜日にお届けします。
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(一)神は人類の父母
文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁は、神と人との関係について次のように述べています。
皆さんも、祈祷を通して神秘的な境地に入り、この宇宙の中心は何なのかと尋ねてみてください。「父子関係」という答えを聞くようになるでしょう。父母と子女間の関係以上に、重要で貴いものはないということです。これが、この宇宙を創造された神様と人間の根本的関係であるからです。(*14)
神と人間は本来、親子関係だというのです。それゆえ、イエス様のみならず、人間は本来すべて神の子です。言い換えれば、完成した人間の価値をイエス様と同等の立場に引き上げているのです。(*15)人間が神の子であることから、人間一人一人の尊厳性が出てきて、人権の尊重の根拠ができます。
また、神は人類の親であるがゆえに、この世界で多くの人々が苦悩している現実に悲しんでいるというのです。文鮮明・韓鶴子総裁が深い宗教的体験で出会った神は「栄光の神」ではなく、「悲しみの神」でした。子たる人間がこの世界で苦悩しているので、親なる神も苦悩するのです。
キリスト教徒の政治学者、南原繁(1889-1974)は「真の神が発見されないかぎり、人間や民族ないし国家の神聖化は跡を絶たないであろう」(*16) と述べています。真の神の発見は、人類歴史の悲願であったということができます。また、ケープタウン大学のキリスト教神学名誉教授であるジョン・W・デ・グルーチー(John W. de Gruchy, 1939-)は「真の神が退場させられたところでは、その空席を満たすため、人間を疎外する偽りの神々が殺到して入って来る」という神学者コリン・E・ガントンの言葉を引用しながら、神を退場させ、その機能を人間の理性に移動させた近代を批判的に検討しています。(*17)近代は、中世においての「神」を人間の「理性」に代えて、それを信じてきました。また、共産主義は「神」を退場させ、共産主義思想を「神」として信じてきました。文鮮明・韓鶴子総裁は次のように述べています。
共産主義は、政治や経済の思想体系である以前に、無神論に立脚した一つの宗教形態なのです。なぜならば、共産主義は人間の考えや哲学や行動を完全に支配するからです。それは、ただ宗教のみがもつことのできる力です。……共産主義は「神はいない」と語る宗教です。……その主義自体が、人間の思考や哲学や行動の中に、神様の代わりに登場し、人間を奴隷や機械のように扱っています。(*18)
共産主義は宗教を否定するとも言われますが、共産主義自体の「宗教性」を、様々な人が指摘してきました。ロシアの哲学者ベルジャーエフ(Nikolai A. Berdyaev, 1874-1948)は「共産主義という名の宗教」と言っています。
また、神が親であるというのは、すなわち、父母であるということです。聖書の創世記一章二七節には「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された」と記されています。父なる神のみならず、母なる神でもあるということです。これが本然の男女の平等を可能にする神学的根拠になっています。
人間個人の尊厳性の根拠は、それが本質的には絶対的な神から来ていることにあります。それと同じく、男女の平等を本質的に決定するに当たっても、それが神から来ていることが必要です。神の中に男性性と女性性があってこそ、本然の男女の平等が担保されるといえます。そのことはアメリカのフェミニスト神学者メアリ・デイリー(Mary Daly, 1928-2010)も述べています(本書78頁「陽性と陰性」参照)。
【注釈】
*14 天宙平和連合編、『平和神經』(東京:光言社、2015)、24〜25頁。
*15 天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合、『原理講論』(東京:光言社、2025)、257頁。
*16 南原繁、『国家と宗教:ヨーロッパ精神史の研究』文庫版 (東京:岩波書店、2014)、5頁。
*17 ジョン・W・デ・グルーチー、『キリスト教と民主主義:現代政治神学入門』、松谷好明、松谷邦英訳(東京:新教出版社、2010)、259~262頁。
*18 天一国経典『平和経』、1152~1153頁。
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次回は、「心情の神」をお届けします。