2026.05.26 17:00

世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
中露首脳会談は「新しい枢軸」の焦りか
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、5月18日から24日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
北京で中露首脳会談の開催(5月19~20日)。韓国・安東で日韓首脳会談(19~20日)。台湾・頼清徳総統就任から2年(20日)。米国がキューバ・カストロ元議長を起訴(20日)。北大西洋条約機構(NATO)外相会談でルビオ国務長官が米軍撤収方針を説明(22日)。米連邦準備制度(FRB)議長にウォーシュ氏就任(22日)。ホワイトハウス周辺で銃撃(23日)、などです。
5月20日、中露首脳会談が北京で開かれました。今回はロシア側が動いたものとみられています。成果としては、エネルギー、貿易など40件の協力に合意したことが挙げられています。
また習氏の発言によれば、プーチン氏の訪中は今回で25回目となり、ロシアの石油大手など国有企業トップや閣僚ら40人が同行しました。
協力内容として、原子力分野、学術協力、鉄道インフラなど多くの文書への署名式が行われましたが、特に重点を置いたのは、ロシア産原油の輸入でした。
会談で両首脳は、関税政策やイランとの軍事衝突を続けるトランプ政権を批判しました。
習近平国家主席は「新たな出発点に入った」と述べ、プーチン大統領は「前例のない水準に達して発展を続けている」と語り、7月に署名から25年を迎える両国の基本条約「中ロ善隣友好協力条約」の延長でも合意しました。
共同声明が出されています。その内容は以下のとおりです。
*強者の法則に基づく世界秩序の復活に反対
*ジャングルの法則(「弱肉強食」「非情な生存競争」といった状況)に回帰する恐れ
*米イスラエルのイラン攻撃は違法
*他国船舶の航行を制限する行為は世界貿易の脅威
*ロシアは中国のウクライナに関する客観的で公正な立場を評価
*日本の最軍事路線は地域の脅威に
*ラテンアメリカ・カリブ海での国連憲章に違反する行為に反対
*北朝鮮に対する圧力に反対
*主権国家に中立を放棄するよう強制できない
などです。
会談後の記者会見内容には驚きました。というより、あきれ果てました。全て両国に当てはまる内容だったからです。
プーチン氏は、中露が「国際法と国連憲章を擁護するために団結」しており、両国が独立した外交政策を堅持して緊密に協力しながら「国際社会を安定させる重要な役割を果たしている」と臆面もなく語ったのです。
習氏は、「世界は決して平穏ではない。一国主義や覇権主義の危害は深刻」であり、「ファシズムと軍国主義を復活させる挑発行為に反対」すると述べて、「中露はより公正かつ合理的なグローバル統治体制の構築を推進しなければならない」と語ったのです。
国際法と国連憲章に違反し、覇権的行動を継続しているのは両国です。まさに、「笑い話」のレベルです。
習氏にとっては、米中首脳会談直後に北京でプーチン大統領と会談することにより、自国の影響力誇示を狙ったのでしょう。
トランプ氏との会談で「建設的戦略安定関係」を目指すことで一致しましたが、経済や軍事などの総合的な国力では米国に依然として及ばないことを自覚していることの表れといえます
「新しい枢軸」(中、露、イラン、北朝鮮)の焦りを見て取ることができます。
同じ日程で日韓首脳会談が韓国・安東で開催されています。両国の協力関係強化と日米韓の連携を確認するために開催されたのです。新しい世界秩序づくりの思惑が交錯した両日でした。
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