2026.05.12 17:00

世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
ドイツ・メルツ政権、試練の1年
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、5月4日から10日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
日豪首脳会談開催、重要鉱物で連携(5月4日)。日本、フィリピン国防相会談、防衛協力の拡大確認(4日)。台湾・頼清徳総統、エスワティニ訪問から帰国(5日)。ドイツ・メルツ政権発足から1年(6日)。ルビオ国務長官、教皇と会談(7日)。ロシアの対独戦勝記念日、地上兵器なし(9日)、などです。
5月6日、メルツ政権が誕生してから1年となりました。政権の看板は、「強いドイツ」です。ロシアのウクライナ侵攻を契機に「平和国家ドイツ」からの転換を図ったのはショルツ前首相でしたが、政権を受け継いだメルツ氏はその路線を一層強固なものにしたのです。
メルツ政権は連立政権です。メルツ氏はキリスト教民主同盟(CDU)で、連立を組んでいるのは社会民主党(SPD)です。SPDは前首相のショルツ氏が所属する政党でした。
メルツ氏は後継首相指名選挙で身内(CDU)からの造反があり、2回目の選挙でようやく選出されました。基盤は決して強くないことが分かります。
さらに別の困難さも背負っています。米国との関係です。
トランプ政権の北大西洋条約機構(NATO)欧州同盟国に対する厳しい目線を前に、「米国から独立する必要がある」と発言して、周囲を驚かせたことがあります。そしてフランスとの核の傘を巡る対話の緊密化を打ち出したことも、「強いドイツ」への転換を印象付けるものとなりました。
ところが今、大きな試練に直面しています。
一つは米国・トランプ政権との関係です。米国防総省のショーン・パーネル報道官が5月1日、ヘグセス国防長官がドイツに駐留する5000人の米軍部隊に撤退を命じたことを明らかにしたのです。
米国のイラン攻撃を巡り、トランプ氏は支援要請に応じないNATOへの批判を強めていました。駐留軍部隊の撤退はこうした不満を受けた措置と見ざるを得ないのです。
ドイツ南西部のラムシュタイン空軍基地は米軍の重要な作戦・補給拠点で、独有力紙ツァイトによれば、対イラン軍事攻撃でも利用されました。
メルツ氏はこの時、米軍の作戦を公然と批判したのです。そして米国の対イラン軍事作戦を「出口戦略がない」と述べ、4月下旬には、「米国はイランに屈辱を受けている」と指摘したのです。
ドイツ駐留米軍は、欧州最大です。欧州全体で約8万6000人、内約3万9000人がドイツに配置されています。撤退は今後6~12カ月かけて実施されるといわれています。
内政面でも試練に立たされています。
これまでの二大政党の凋落が顕著であり、特に若年層の支持が大きな課題となっています。
一方、不法移民問題への対応を主張する「ドイツのための選択肢(AfD)」の飛躍が目立っているのです。
公共放送ARDの世論調査によれば、4月26日時点でメルツ政権に「満足している」と答えたのは15%でした。4月17日の公共放送ZDFの世論調査では、「ドイツのための選択肢」の支持率が26%、与党「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」の25%を初めて上回り首位になったのです。
ドイツが大きく変化しつつあります。大国ドイツの動向は欧州全体の変化に直結します。欧州は、米国に依存しない安全保障能力が問われているのです。
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