夫婦愛を育む 49
小言がやめられない

ナビゲーター:橘 幸世

 運転中の車のラジオから、「子供に口うるさく言わない方がいいのは分かっているし、言われる側は嫌だろうなぁと思うんですが、ついつい言ってしまいます」というリスナーからの投稿が紹介されていました。

 それを読んだ女性アナウンサーは「そうですよね、小言言っちゃいますよね」と共感。一方、男性ゲストは「僕は言われる側の立場で聞いていましたね」との感想。
 還暦を迎えんとする今もなお、小言を言われているというのです。もちろん、今は奥様から。

 公共放送のラジオ番組にゲストとして呼ばれるだけの社会的地位にある人でも、人生でずっと小言を言われ続けているのかと思うと、男性って大変だな、って思います(もちろん、女性には女性の大変さがありますし、夫や子供を大切に思っているからこそ言ってしまうのですが)。

 口うるさい奥さんの待つ家には帰りたくなくなりますし、ささいな事のように思えても、その積み重ねが愛情を冷まし、ひいては夫婦の危機につながることも珍しくありません。時には悲劇すら起こります。

 長年この点を講座でお話しし実践してきている私は、基本的に主人と穏やかに過ごせています。あれこれ言っていない“つもり”です。が、振り返ると、時折やんわりとクギを刺したり、一言余計に言っている自分に気付きます(特に主人の健康に関する事で)。

 先日隣に住む義妹が、うっかりミスで面倒をかけたと謝ってきました。大した面倒でもありませんでしたし、結果オーライで、私はニコニコと「良かったですね」とだけ言いました。 
 その後ふと、もしそのうっかりミスをしたのが主人ならば、「あ~あ、お父さんたら、大丈夫?」などと言っていただろうなぁと思いました。

 近しいからこそ油断して、余計な一言が出るのだと思います。

 「国を問わず、女から口うるさく言われることを男は最も嫌っている」と、ピーズ博士夫妻が著書『嘘つき男と泣き虫女』で書いていますが、言い換えれば、国を問わず多くの女性がつい口うるさくなりがちなのでしょう。そして、投稿者の女性のように、良くないと分かっていながら言ってしまう自分に自己嫌悪したりダメ出しをするのです。

 小言を控えることがベストではありますが、言ってしまった時は、自分だけの欠点ではなく多くの女性に共通の課題だと受け止めて、自分を責め過ぎず、率直に謝るなどしてフォローしましょう。三歩進んで二歩下がる、で良いのです。

 疲れていたりイライラしていると、相手への要求が出てきやすいので、自分をいたわることも忘れずに。