ほぼ5分で読める統一運動 86
環太平洋圏の海洋資源開発と神の摂理

稲森 一郎

 太平洋の戦略的な価値が、「復帰摂理の地政学的な最後の結論」と言われるほどの重要性を帯びていることが、文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクチャ)夫妻が示す神の摂理の視点から分かりました。

 文師は自叙伝の中でこう看破しています。
 「海を掌握する国が世界の主役になるということは、歴史が証明しています。16世紀のイギリスを考えてみてください。イギリスの女王エリザベス一世は、王位に就くやいなや、海洋政策を強化しました。資本と技術をすべて動員し、頑丈な船を造り、勇猛な人たちを船に乗せて海に送り出しました」(自叙伝増補版『平和を愛する世界人として』、光言社文庫判325ページ)

 続けて、「太平洋は海です。海を治める力がなければ、太平洋文明圏の主役になることはできません。いくら天運が到来したとしても、自分が全く準備ができていなければ、チャンスをつかむことはできないのです」(同、328ページ)と、天運到来に対して準備を怠ることなく、備えが必要であると忠告します。

 その上で、海の可能性に触れ、「海には魚だけがいるのではありません。海のもっと大きな宝は、エネルギー源に他なりません。石油の埋蔵量が減少するとともに、エネルギー源をめぐる危機感が日に日に高まっています。石油が底をつけば、人間の文明世界はそのまま暗黒になってしまいます。トウモロコシを利用した代替エネルギーを開発するといいますが、それは、人類が食べて生きていく食糧も不足している状況では、決して可能なことではありません。本当の代替エネルギーは海にあります。海の中に埋められた水素エネルギーに人類の未来があります」(同、328ページ)と言及する観点にこそ、太平洋の無限の可能性が示唆されているのです。

 水素は今後のエネルギー循環の中心的役割を果たすエネルギーキャリアとして最有力視されています。
 中でも、送電ケーブル敷設が困難な外洋における海洋エネルギーによる再生可能エネルギー発電は蓄電が必須となり、その蓄電方法として大容量で長期間の保存が可能な水素への変換が今のところ有力であると見られています。
 水素は水を電気分解することにより得られますが、燃料電池で電気をつくっても水だけを排出するので、CO²対策も心配いりません。

 現在、海洋エネルギーとは 以下のようなものが考えられており、研究開発が進められています。
 ①海洋温度差発電(OTEC)、②波力発電、③潮流発電、④洋上風力発電、⑤潮汐力発電、⑥海洋からの稀少金属等の回収、⑦海洋濃度差発電、⑧海洋深層水、⑨水素エネルギー、⑩熱交換器など、多岐にわたります。

 おそらく、21世紀中(2100年まで)には、化石燃料(石油、石炭)中心の構図が大きく変わり、各国のエネルギー政策も今までとは違ったものになってくると予想されます。
 現在は、本格的な海洋資源時代へと舵を切る時代的風潮の中にあるといえますが、今後、加速度的に海洋資源の開発研究は進むことでしょう。

 エネルギー資源に関して、100年後の22世紀は、全く違った世界の光景が見られるはずであり、そこに太平洋の存在感が、いやが応でも大きくなっていることは否定できません。
 日本は海洋資源開発の中心にいることでしょう。そして韓国、米国との協調体制も組まれることでしょう。
 必然的に、新しい文明のかたちが出来上がることは間違いありません。