2026.01.31 22:00

ほぼ5分で読める統一運動 83
理想世界実現の鍵を握る所有権思想
稲森 一郎
文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクチャ)夫妻の基本的な考えは、以下のようなものです。
「私は、物質をサタンのものだとして、悪いようには考えません。その物質を管理し、使用するのは人間です。それを誰が所有し、どのように使用するかが重要です。物質を所有した人が神様を中心として、善なる目的で人類の利益のために使用すれば、神様は、喜んでその人に所有権を与えられるでしょう」(天一国経典『真の父母経』、1104ページ)
物質(有体物)の所有権は、民法上、最も典型的で強力な権利です。土地や動産(モノ)を直接的に支配し、自由に使用し、収益を上げ、処分できる権利が民法上の権利としてうたわれています。
問題は、理想的に言えば、「善なる目的で人類の利益のために使用すれば、神様は、喜んでその人に所有権を与えられる」という文師の思想に合致することが求められているということです。
現在の社会における人々の所有権問題は必ずしもそのような思想で所有しているのではなく、利己的、排他的欲望によって所有権が主張されている側面があります。
「私は、多くの場所に理想的な都市と村を造る計画をもっています。私たちは、経済的に相互扶助を行い、生産して働く社会を建設するでしょう。その雰囲気は、外部世界とは違います。
お金が主な目的ではありませんが、そのような事業体を立てることによって、統一教会員たちは、神様に対する責任と奉仕を共に遂行していくでしょう」(同、1104ページ)
このような文師の構想は、「神様に対する責任と奉仕を共に遂行していく」という姿勢が強調されていることからも分かるとおり、私利私欲の動機ではなく、神と人類のために役立てる公益倫理の経済を指向しています。
「誰彼を問わず、過去、現在、未来を中心として、多くの人々が生きていく中で、概して貴いと考えるものとは何でしょうか。今までの歴史路程では、経済問題が登場しました。お金の問題は、日常生活から離れることのない事柄です。
経済問題というのは、家庭でもそうであり、社会生活でもそうであり、国家生活でもそうであり、あらゆる生活から離れることができないのです。常に経済が問題になってきました。経済問題を論じるときは、世界的次元で考えなければなりません。今、家庭で使うお金も必要ですが、それを広げ、国家的な経済問題や、世界的な経済問題を考えなければならないのです」(同、1104ページ)
このように語る文師の経済思想は、あらゆるレベルでの経済の重要性を述べるとともに、その経済が、個人レベル、家庭レベルに閉じてしまうのではなく、世界的次元で考えなければならない重要問題であるということです。
すなわち経済は、人類レベルでの経済の公平性、公益性、倫理性が問われるテーマであり、極端な格差を生むようなシステムで動かされてはいけないと忠告しているのです。
残念ながら、現在の世界経済は格差がどんどん広がるような仕組みを持っており、人類全体が恩恵にあずかることのできる仕組みが十分に考慮されていないところがあります。
共産主義のような平等思想を掲げて、実際にはソ連や中国のような格差社会を創出し、人民の不満を力(武力)で抑え込む疑似平等主義は、当然、否定すべきものですが、資本主義も広がる格差を解決しなければ、存続が危ぶまれる事態になりかねません。
所有権思想を巡る問題の中に、「理想世界実現」への鍵が隠されています。