コラム・週刊Blessed Life 49
2019年は「いだてん」の年

新海 一朗(コラムニスト)

 58回目に当たる2019年放送のNHK大河ドラマは「いだてん」に決まり、早速、第1回目が1月6日に放送されました。2020年の東京オリンピックの開催を盛り上げる番組として露払いの役を与えられたのが「いだてん」であるというわけです。

 物語は、日本における「マラソンの父」と呼ばれる金栗四三(1891-1983)が中心になって展開されるのですが、合わせて、1964年の東京オリンピックの誘致を果たした田畑政治(1898-1984)の物語が並走するかたちで、この二人を焦点に当てた作品に仕上げられています。

 脚本は宮藤官九郎が担当し、彼の多彩な才能が遺憾なく発揮されていると言ってよいでしょう。とにかく、このドラマが本番の2020東京オリンピックへの起爆剤となって、2020年のオリンピックの大成功が世界中で祝賀されることを祈りたいと思います。

 ところで、「いだてん」とは何か。
 漢字で「韋駄天」と書きますが、これは、仏法の守護神であり、仏舎利を盗んだ捷疾鬼(しょうしつき)を追いかけて取り戻したという、ものすごく足の速い神であったという話があります。ここから、足の速い人を「韋駄天」に例えて言うようになったのです。

 金栗四三が当時(1911年)のマラソン距離40.225㎞を27分縮める大記録(2時間32分45秒)を出した出来事によって、彼はオリンピック選手として参加を目指すのですが、第一次世界大戦とその後のヨーロッパ情勢、第二次世界大戦への突入など、20世紀前半のオリンピックの歴史は多難でした。
 また、選手の体調を万全にする科学的な配慮(交通移動、宿泊、食事、トレーニングなど)もほとんど未発達で、出たとこ勝負のタマシイ(精神論)で競技する側面が強く、そういう時代の空気の中でオリンピックの競技が開催されていた光景をドラマは映し出しています。

 2019年は「いだてん」の年として、ゆっくり走っていた私の人生も、今年ばかりは速く走ってみたいという願望を抱いています。