ほぼ5分で読める統一運動 77
摂理歴史の帰着点は朝鮮半島

稲森 一郎

 神の摂理の視点(キリスト教の流れ)に立って文明の流れをみると、ヨーロッパからアメリカへ、そして太平洋を渡って日本へと西回りで東洋へたどり着く神の摂理歴史の足跡を見ることができます。

 統一運動を主導してこられた文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクチャ)夫妻の視点は明確です。
 文鮮明師は次のように述べています。

 「本来、キリスト教は東洋の宗教です。しかし、イエス様が亡くなったのちに、西欧を中心として発展したので、『西欧のキリスト教』という言葉が出てくるようになりました。逆さまに回ってくるのです。ローマを経て、イギリスを経て、アメリカ大陸を経由し、今や極東まで一周回ったのです。蕩減復帰は、歴史的環境と似た環境をつくって蕩減するのが原理です。そうだとすれば、『復帰歴史の中で蕩減しようとすれば、主はイスラエル民族のところに来なければならないので はないか』と考えるかもしれませんが、それはできません。
 そのような観点で、必ず西欧文明と連結され得るアジアのある国、アメリカとやり取りができて関係をもち得る国、長い歴史をもった単一民族の国が必要だというのです。ですから、島国を経て逆さまに回っていくのです」(天一国経典『真の父母経』、964965ページ)

 さらに摂理歴史の帰着点が朝鮮半島にあると、次のように述べています。

 「島国として、イギリスに相当する国が日本であり、イタリアに相当する国が韓国です。それゆえ、韓国は、霊肉を中心として、西洋文明と東洋文明を連結できる一つの見張り台になるのです。半島は、海と陸地が接し得る良い条件を備えているので、これは必ず文化の交流地になります。ギリシャやイタリアも半島 であり、スペインやポルトガルも、半島を中心として連結されるのです。文化の移動は、半島を通して行われるというのです」(同、965ページ)

 そうだとすれば、キリスト教の理想が「神の国」の建設であったことから考えて、人類が目指した地上天国の実現は、朝鮮半島で結実すると見なければなりません。
 実際の歴史の経緯を見ると、西洋文明の外的側面である科学文明、物質文明を先に東洋で受容したのは朝鮮半島よりも日本の方です。

 明治維新以降は、すさまじいばかりの日本の西洋文明の吸収がありました。
 欧米の人々が驚くほどの急速度で発展する日本(明治、大正、昭和の120年、18681988)を見て、エズラ・ヴォ―ゲルは「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言い、畏敬と同時に恐れを抱くほどでした。

 そして日本は、そっくりそのまま、日本の欧米文化の取り入れの国家的な成功を朝鮮半島に移植していきました。
 徳川幕府265年(16031868)のおよそ2倍に当たる李王朝518年(13921910)の封建社会を終わらせる日本植民地時代の統治を、朝鮮は屈辱の中で受けることになります。

 第2次世界大戦後の独立の後も日本との関係を継続させる中で、特にアメリカの民主圏に入った韓国は、目を見張るほどの発展を遂げ、一方の北朝鮮は経済を犠牲にして核武装国家にひた走るいびつな体制の中で人民は呻吟(しんぎん)する生活を強いられます。

 このような現在の時点に至っていることを見ると、一体、どのようにして、朝鮮半島に神の国(「天一国」)が築かれるのであろうかと思わざるを得ませんが、神の摂理が絶対であるならば、南北統一、そして理想国家、統一国家の夢を果たす方向へ行かざるを得ない宿命を半島は担っているといえるのです。それが天の願いなのです。

 それ故、日本と韓国とアメリカが足並みをそろえて一体化していくならば、必ずや希望のある前途が開かれるはずなのです。