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文鮮明師自叙伝に学ぶ~心の書写 31

幸運の家計簿

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第3弾、『文鮮明師自叙伝に学ぶ~心の書写』を毎週木曜日配信(予定)でお届けしています。なお、この記事に記載されている「自叙伝『平和を愛する世界人として』」のページ数は創芸社出版のものです。

浅川 勇男・著

(光言社・刊『心の書写~文鮮明師自叙伝に学ぶ~』より)

【第九章】陰徳を受けたときは、必ず、もっと大きくして返す

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 いくら小さなことでも、いったんお世話になったら生涯忘れることができません。年が九十歳になった今も、いつ誰が何をしてくれたか、また、いつ誰がどのようにしてくれたか、すらすら話すことができます。私のために労苦を惜しまず、陰徳を施してくれた人たちを生涯忘れることはできません。

 陰徳を受けたときは、必ず、もっと大きくして返すのが人の道です。しかし、その人に直接会えないこともあるでしょう。恩恵を施してくれた人に直接会えなかったとしても、大事なのはその人を思う心です。ですから、その人に会えなくても、受けた恵みを今度は他の人に施そうという一途な心で生きるのがよいのです。(77ページ)

幸運の家計簿

 人は誰でも幸福になることを願っています。では、どうしたら幸福になれるのでしょうか? ある人は「生活が豊かになることだ」と言いました。生活の豊かさだけで幸福になれるわけではありませんが、大事な条件であることは間違いありません。

 では、どうしたら生活が豊かになれるのでしょうか。そのためには家庭経営の達人にならなければなりません。賢い奥さんはお金のやりくりが上手です。少なくとも浪費ぐせはありません。衝動買いや浪費は家計を圧迫するばかりか、ご主人の気分を害し、夫婦関係に溝をつくることにもなります。

 「ゼイケン川柳」というのがあります。税金に関心をもってもらうために、税務研究会が主催しているものです。

 税務署に勤めているご主人が奥さんの浪費ぐせに頭を悩ませていたそうです。そんなご主人の心配をよそに、奥さんは衝動買いを繰り返していたのです。国家の財政赤字を軽減し経済運営を円滑にするために、消費税の導入が取りざたされていますが、ご主人は家の財政が破綻するのではないかと苦慮して川柳を作りました。なんと、ご主人の投書した川柳が入選したのです。ひょっとすると、税研の審査員も同じ事情を抱えていたのかもしれません。その句とは、

 買いまくる 妻にかけたい 浪費税

 ところで、やりくり上手な奥さんは家計簿をつけています。きちんとお金を管理して家計を支えています。家計簿のつけ方は簡単明瞭です。足し算と引き算だけです。家計に入るお金が収入で、出て行くお金が支出です。収入から支出を引けば、それがひと月の残高になります。支出より収入が多ければ残高は多くなり、黒字となります。黒字になれば、たまには家族で外食をしたり、旅行にも行けます。

 では、どうしたら黒字になるのでしょうか。収入を増やして支出を下げればいいのです。このため気立ての良い奥さんは家の将来を見据えて節約をします。浪費はしません。ゼイケン川柳の対象にはならないのです。

 しかし、収入より支出が多ければ残高はなくなります。なくなるどころか、マイナスになります。家計は赤字になって、生活に追われ、夫婦関係も険悪になりかねません。経済的に見れば、家計簿が黒字なら生活が豊かで、赤字なら貧乏になります。黒字にするためには、収入を多くして、支出を少なくすればいいのです。

 しかし、生活の豊かさは幸福の一つの条件にすぎません。では、どうしたら本当の幸福になれるのでしょうか?

 家庭に幸福をもたらす運勢を幸運といいます。幸運とは春のようなものです。春が来れば植物の生命が芽を出し、花を咲かせます。同じように、幸運が家庭に幸福の花を咲かせるのです。幸運は良い人との出会いを演出し、お金を含めた万物を引き寄せます。幸運を引き寄せるのが幸福になる秘訣(ひけつ)なのです。

 それを家計簿で考えてみましょう。名づけて、「幸運の家計簿」です。

 幸福の家計簿のつけ方も簡単明瞭です。幸運の収入を増やして支出を減らせばいいのです。幸運が黒字になったら幸福で、赤字になったら不幸になります。

 では、幸運の収入とは何でしょうか。

 普通、収入とはお金が入ることを意味します。ところが、幸運の収入は一味違います。人に尽くし、与えることが収入なのです。人に与え、尽くしたことが幸運の収入になるのです。人のために犠牲になることは損をするように見えますが、実は大きな収入となるのです。
 逆に、人から尽くされ、与えられ過ぎると幸運の支出となってしまいます。幸運の支出とは、人の世話になり過ぎることです。家計簿では支出はお金が出て行くことですが、人から世話を受けることが幸運の支出になってしまうのです。借りをつくることになるのです。幸運の家計簿は、人に尽くした分が尽くされた分より多ければ黒字となり、世話になったことが世話したことより多くなれば、赤字になるのです。ゆえに、幸運の家計簿のつけ方は、常に人に与え続けて、幸運の黒字をつくることなのです。

 文鮮明(ムンソンミョン)先生は、幸運の家計簿のつけ方を最もよく知る達人といえます。その生涯は与え続けることに徹底しています。文鮮明先生は幸運の秘訣を「受けるより与える者に福が来る」と語られています。

 自叙伝には文鮮明先生の学生時代のエピソードが記されています。

 「学校に行く途中、息も絶え絶えの人に出くわしたことがあります。かわいそうに思うと足が止まってしまい、その人を背負って二キロほど離れた病院に向かって走り出しました。運良く財布に入っていた学費の残りで治療費を払うとあとはもうすっからかんです。今度は学費が払えなくなり、学校から督促を受けることになりました。それを見て、友人がお金を一銭、二銭と集めてくれました。その時の友人は生涯忘れられません」(自叙伝、73〜74ページ)(続く)

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 次回は、第九章の「陰徳を施す」をお届けします。


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