2025.12.01 22:00

facts_3分で社会を読み解く 96
中国共産党と結託する世界的反カルトネットワーク(8)
韓国の「反カルト運動」⑤
日本と中国の反カルト運動の協力関係
ナビゲーター:魚谷 俊輔
このシリーズは、世界的反カルトネットワークによる信教の自由に対する攻撃という観点から、日本や韓国で起こっていることの背景について解説しているが、今回は日本と中国の反カルト運動の協力関係について説明したい。
今回登場するのは、日本で家庭連合に対する批判的研究を最も多く出版している宗教学者の櫻井義秀・北海道大学教授である。
2007年12月、中国・深圳で中国社会科学院・世界宗教研究所が主催した「第1回カルト研究国際シンポジウム」に櫻井義秀氏が参加した。

マッシモ・イントロヴィニエ氏によれば、この会合は実際には学術会議というよりも、中国政府によってあらかじめ演出された「道徳劇」であった。
中国政府は「公共秩序の守護者」として登場し、宗教的少数派は弾圧すべき「悪役」として描かれていた。
そこには櫻井氏の他にも、欧米の宗教学者たちが参加していた。
2007年の時点では、新宗教運動を研究する欧米の学者たちはまだ、中国当局との「カルト」に関する対話が可能であると期待していた。
アイリーン・バーカーなど欧米の学者たちが、宗教の自由に関する多様な視点を誠実に提供しようとする一方で、櫻井氏は中国側の主張と違和感なく調和しているように見えた。
欧米の学者たちは、この会議が新宗教研究の学術的シンポジウムというよりも、反カルト集会に近かったことを報告している。
2018年には、欧米の学者たちはこうした中国との対話に対する希望を完全に棄(す)てた。
あの会合は学術的な場ではなく、プロパガンダの舞台であり、外国人学者の権威を借りて中国当局による宗教弾圧を正当化するために仕組まれたものだったのだ。
2007年の会議には、韓国の反カルト運動の指導者も招待されていた。
韓国の基督教異端・似而非研究対策協議会会長の李大福牧師が、各種の異端に対して45分間にわたる激しい非難演説をする場面があったという。
これに対して欧米の参加者たちが戸惑った一方で、櫻井氏はそれに異議もなく、同調しているようだったという。
この会議における櫻井氏の発表タイトルは、「現代日本におけるカルト問題」であった。
彼の論文は、日本人が「カルト」に取り込まれやすい要因は「脆弱(ぜいじゃく)性」にあるとし、それに対処するための社会的対策や政府の介入が必要であると呼びかけている。
彼は「西洋の研究者には、日本における統一教会の巧みな霊感商法を理解するのは難しい」と断言し、彼らを批判した。「日本人でなければ理解できない」——それが彼の論理であった。
欧米のまともな宗教社会学者たちが中国の意図に気付いて離脱する一方で、韓国と日本の反カルト活動家たちは、中国との友好関係を継続したのである。