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中国共産党と結託する世界的反カルトネットワーク(6)
韓国の「反カルト運動」④

矛盾に満ちた韓国の「反カルト運動」

ナビゲーター:魚谷 俊輔

 現代の反カルト運動は主に世俗的なヒューマニストによって主導されてきた。彼らは、カルトと宗教の間に根本的な違いはなく、全ての宗教は精神疾患の一種であると考える人々である。

 しかしこれらの世俗的ヒューマニストたちは、奇跡、涙を流すイコン、そして母なるロシアの神聖性を固く信じるロシア正教会の指導者たちとも、中国の全体主義的で公式に無神論を掲げる政府とも協力する。
 これらは、「敵の敵は味方」という考えに基づいている。

 韓国の最も激しい反カルト運動は、根本主義のプロテスタントの伝統に根差している。
 彼らは有神論を信じ、理論上は反共産主義を掲げているにもかかわらず、「カルト」に対する共通の敵として、中国共産党と協力する意思があることも多い。

 彼らはまた、リベラル派教会の一部のキリスト教徒、左派知識人とも連携する。
 ここでも「敵の敵は味方」という論理に基づき、彼らは思想信条の違いを超えて、お互いに会議に招集し合って、交流を深めているのである。

 韓国の反カルト運動の主要人物の一人に、ジン・ヨンシク牧師がいる。
 彼はディプログラマーとして活動し、韓国の最高裁から暴力的なディプログラミングに関与したと認定され、強制棄教の罪で懲役10カ月、執行猶予2年の有罪判決を受けた、いわくつきの人物である。

▲ジン・ヨンシク牧師

 2023年、ジン・ヨンシク牧師率いる韓国の団体「世界反異端協会」が世界ツアーに乗り出し、スペイン、ドイツ、モンゴルなどで講演を行った。
 彼らは韓国の「カルト」を批判しただけでなく、全能神教会(CAG)や法輪功といった団体に対する中国政府による弾圧を公然と支持した。

 根本主義の牧師たちがこれらの団体に対抗するために多大な資源を投入しているという事実は、中国との密接な関係を示唆している。
 北京の情報機関と関係があると思われる中国のウェブサイトは、この協会のツアーを定期的に報道し、宣伝している。

 オ・ミョンオク氏は、韓国の著名な反カルト活動家であり、雑誌「宗教と真実」を発行している。
 彼女は世界反異端協会の非公式代表として活動している。彼女は中国工作員と密接な関係にあり、彼女自身も中国の工作員である可能性がある。

▲オ・ミョンオク氏

 中国共産党と韓国の「世界反異端協会」は、異例の関係を築いている。根本主義的なキリスト教徒のほとんどは反共産主義である。しかし、彼らは中国共産党とその諜報機関に協力するのである。
 中には中国に買収された者もいるかもしれないが、それ以外は「敵の敵は味方」という論理で結び付いているのであろう。

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