ほぼ5分で読める勝共理論 102
夫婦別姓問題⑤
夫婦別姓は国民の声ではない

編集部編

国民は夫婦別姓を望んでいる?
 今回は、夫婦別姓問題の最後、「夫婦別姓は国民の声ではない」という話をしたいと思います。

 まず、こちらのデータをご覧ください。

 このデータは、内閣府の世論調査(平成29年)の結果です。
 朝日新聞は、このデータを持って「夫婦別姓は国民が望んでいる」と報じました。

 確かにこのデータを見ると、夫婦別姓に反対が29.3%、そして夫婦別姓を容認が42.5%です。
 それで朝日新聞は、「賛成の42.5%が反対の29.3%を大きく上回った」と報じました。

 しかし、この報道は全くのデタラメです。
 どういうことかというと、通称使用容認の24.4%を無視しました。「賛成と反対のどちらでもない人たちである」と解釈したのです。

 しかし前回詳しく説明したように、通称使用容認というのは、夫婦別姓には基本的に反対の立場です。
 「夫婦別姓は駄目だけれども通称使用だったらいい」という意味なのです。

 ですから、このデータを普通に読めば反対になるはずです。
 つまり、国民の過半数の人たちが夫婦別姓に反対ということなのです。

 「国民が夫婦別姓を望んでいる」という朝日新聞の主張は真っ赤なうそと言っていいでしょう。

結論ありきの調査?
 次にこちらのデータをご覧ください。

 このデータは、早稲田大学法学部の棚村教授が調査したデータ(47都道府県「選択的夫婦別姓」意識調査)です。

 ①は、自分は夫婦同姓がよい。他の夫婦も同姓であるべきだ。

 ②は、自分は夫婦同姓がよい。他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない。

 ③は、自分は夫婦別姓が選べるとよい。他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない。

 ④は、「その他、分からない」です。

 それで棚村教授は、夫婦別姓賛成の割合が7割もあるのだと言いました。

 実はこの解釈も完全にでたらめです。

 まずこの調査は、対象が60歳未満の成人に限られています。60歳以上のかたもれっきとした日本国民です。
 高齢者のかたが夫婦別姓を望まない人が多いので、意図的に外したのでしょう。

 さらに②のかたは、自分は夫婦同姓なのだけれども、他の人は同姓でも別姓でも構わないというのは、どう考えても夫婦別姓に賛成とはいえないでしょう。
 そもそもこういった質問の仕方自体に私は悪意を感じます。

 世論調査で他の人がどうなのかを質問する必要があるのでしょうか。筆者は必要ないと思います。

 普通に考えれば、「自分は夫婦同姓なのだけれども、他の人までそうすべきだ」というのはかなり強い考えを持った人です。
 ですから、日本人であれば、だいたいは②か③になると考えられるわけです。
 棚村教授はそれを承知でこういう質問をしたのでしょう。

 正確に解釈すれば、②の人は、他人のことは分からないということです。少なくとも賛成とはいえないはずです。
 実際にこの調査を行った棚村教授自身も、②を賛成とするのは問題があると言いました。この部分を厳しく批判する大学教授もいます。

 要はこの調査は結論ありきの調査なのです。「夫婦別姓に国民は賛成しているのだ」として、うそでもいいからそういう事実をつくって、無理矢理にでも推進しようとしているのです。

今こそ、家族の絆を取り戻す時
 以前お話ししたとおり、夫婦別姓を導入すれば日本の家族制度は根本的に変わってしまいます。
 単に個人の尊重とか多様化とかいう問題ではないわけです。その部分を推進派は意図的にごまかしています。

 日本では戦後、行き過ぎた個人主義が強調され続けてきました。
 家族の大切さを強調すると条件反射的に軍国主義の再来だと言って批判する人もいます。
 そんな状況でも、日本人は家族を大切にしてきました。

 筆者は今こそ日本は家族の絆を取り戻すべき時だと思います。
 そういう時に、一部の過激なイデオロギーによって家族を弱体化することは許されません。

 以上の理由で、私たちは夫婦別姓制度には、たとえ選択的であっても断固反対の立場を取っています。

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