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夫婦別姓問題④
推進派の真の狙いとは?

編集部編

「通称」とは何か?
 今回は、推進派の真の狙い、つまりこの問題の思想的背景について説明します。

 夫婦別姓の推進派の人たちは以下のように主張します。

・夫婦別姓を認めても誰にも迷惑はかからないのではないか
・結婚して名字を変えたい人は変えたらいい
・変えたくない人は変えなくてもいい
・それぞれの希望がかなう制度が一番いいのではないか
・それが多様性に配慮した優しい社会ではないか
・どうしてみんな同じにしないといけないのか
・反対する理由が分からない

 つまり推進派の人たちは、自分たちは人権に配慮していると言うのです。
 しかしこの主張は完全に間違っています。

 ここで皆さんに注意してもらいたいことは、推進派の主張は「通称使用の拡大」ではないということです。

 この点がとても大事なので、まずは、「通称」とは何かについて説明したいと思います。

 通称というのは、戸籍上の名前とは別の名前を名乗ることです。
 例えば、鈴木さんが結婚して佐藤さんになりました。しかし職場では旧姓の鈴木さんと名乗ることができます。
 タレントの芸名もそうです。つまり、本名でない名前は全部通称です。

 かつてある研究者が夫婦別姓の裁判を起こしたことがありました。
 その研究者は独身の時にたくさん論文を書いたのですが、結婚して名字が変わったらその論文は自分が書いたものではなく、他の人が書いた論文だということになってしまいました。
 それで夫婦別姓は憲法違反ではないかと訴えたのです。

 裁判所は、以下のような判決を下しました。

・夫婦別姓を認める必要はない
・旧姓を使用した論文はその人の論文として認めなければならない
・国や会社はできるだけ通称を認めるようにすべき

 この判決が出てから、社会では基本的に通称使用が認められるようになりました。
 芸能人が選挙に立候補するときに芸名を使っても構わないのです。例えば、大阪府知事に横山ノックさんが通称で立候補して当選したこともありました。
 こうして日本の社会では、通称使用が広く認められるようになったわけです。

「文化共産主義」という思想
 ところが推進派の人たちは、「通称使用の拡大では駄目だ」と言っています。
 もし仕事の不利益をなくしたいとか、自分らしさを大事にしたいとかいうなら、通称を名乗るのでは駄目なのでしょうか。どうして戸籍まで変えないといけないのでしょうか。

 田嶋陽子元参議院議員は、そもそも戸籍制度もなくしたい。でもいきなり戸籍制度をなくすのは難しいから、まずは夫婦別姓から取り組むのだと言っています。

 辻元清美氏や福島瑞穂氏もそうです。この人たちは、本当は夫婦別姓を推進しようとしているのではなくて、日本の戸籍制度を解体して、日本を個人主義の国にしようとしているのです。
 つまり、女性差別を解消しようとか、そういうレベルの話ではありません。

 この考えの根底には「文化共産主義」があります。
 共産主義というのは、「資本主義は支配によって成り立っている」というイデオロギーです。いわゆる「階級闘争論」です。

・社長が労働者を支配して搾取している
・労働者を解放するには社長を倒すしかない
・革命を起こして資本主義を倒すしかない
・そうして共産党一党独裁にするしかない

 以上のようなイデオロギーが共産主義です。これを家族に応用したのが文化共産主義です。

・妻や子供は夫に支配されている
・妻とか母とかいう言葉で犠牲を強いられている
・私は母や妻になりたくない
・一人の自由な人間でありたい
・家族というのは嫌だ
・だから家族制度は壊さないといけない
・敵である家族を壊してこそ人間は自由になれる

 これが文化共産主義なのです。

 つまりこの問題の本質は、人権に配慮するとか、優しい社会をつくるとかという問題ではなく、「家族を敵と考えるのが正しいかどうか」というイデオロギー闘争の問題だったということなのです。

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