2025.10.23 12:00

ほぼ5分で読める勝共理論 100
夫婦別姓問題③
韓国が夫婦別姓である理由
編集部編
夫婦同姓は時代遅れ?
読者の皆さんから「韓国は夫婦別姓ではないか」「世界で夫婦別姓でないのは日本だけではないか」という質問を頂くことがあります。
今回は、これらの点について説明したいと思います。
まず、韓国の制度について説明します。
筆者は韓国の制度についていろいろな文献を読んでみました。しかし韓国人ではない私が、偉そうに韓国の文化や法律について説明すると、「それはおかしい。そんな勝手なことを言うな」という人も出てくるでしょう。
それで今回は、特に韓国の制度については韓国人の専門家の文献を基にしながら説明したいと思います。
主に題材にするのは高麗大学校名誉教授の崔達坤(チェ・タルゴン)先生の文献です。崔先生は韓日法学会の会長で、日本語の本も出版している先生です。
韓国の制度を説明する前に、個人を重視すべきという考えを「個人主義」、個人も大事だが家族を重視すべきだという考えを「家族主義」と呼ぶことにしましょう。
話を分かりやすくするためにあえて二つに分けました。
「夫婦別姓」推進派の人たちは基本的に個人主義です。
推進派の人たちは、韓国の例をよく出します。
・韓国は夫婦別姓ではないか
・韓国は儒教の国で家族の絆は日本以上に強い
・だから日本が夫婦別姓にしても家族の絆は弱まらない
・「夫婦別姓」反対派の主張には根拠がない
・夫婦同姓は古い制度であって時代遅れだ
というわけです。
しかしこの説明は完全に間違っています。韓国の文化や制度を全く理解していない発言だからです。
父性社会の韓国
どういうことかというと、韓国は原則として父姓社会です。そして韓国の法律も父姓社会に基づいて作られています。
このことは私が勝手に言っていることではなく、崔達坤先生が言っていることでもあります。
父姓社会というのは、父方の血族を重視する社会であるということです。
父方の血縁が朴氏なら生まれてくる子供はみんな朴氏です。母親が李氏だからといって子供が李氏になることはほとんどありません。
名字は結婚しても変わりません。
例えば、李氏の女性が朴氏の家に嫁いだとしましょう。それでも李氏という血族の名前は変わりません。それだけ血縁を重視する文化であり、法律だということです。
このことを、血縁主義と呼ぶことにしましょう。個人主義、家族主義に対して血縁主義です。
一方、日本や米国では名字をファミリーネームと言ったりします。つまり、名字は家族を表す言葉なのです。
鈴木さんが佐藤さんと結婚すると名字は佐藤さんに変わります。佐藤さんという家族の一員になるからです。
しかし韓国では、名字は家族を表す言葉ではないのです。ましてや個人を表す言葉でもありません。名字は血縁を表す言葉なのです。
もし日本の家族制度が個人よりも家族を尊重しているので伝統的で古いと言うのなら、韓国の制度はもっと伝統的だということになります。
崔先生がそう言っています。個人主義とは全く逆の捉え方をしているのです。
ですから「夫婦別姓」推進派が個人主義だといって韓国を見習えというのは、根本的に間違った見解であるということです。
欧米の国々では、基本的にファミリーネームがあります。結婚すると夫婦の名字は同じになるのです。別姓は例外的にしか認められません。
つまり、同姓・別姓を自由に選べる国は、世界ではスウェーデンなどの限られた国しかないのです。
ではスウェーデンの家族の状況はどうかというと、スウェーデンの離婚率は50%前後となっています。
結婚しても平均で10年未満の間に離婚してしまいます。その結果として少年犯罪が日本の数十倍もあるのです。凶悪犯罪も多く発生しています。
つまり、選択的夫婦別姓制度を採用している国で、実際に家族が弱体化している国があるということです。
日本だけが時代遅れで封建的であり、「夫婦別姓」を推進しても何も問題ないというのは、真っ赤なうそだということなのです。
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◆『よくわかる勝共理論~日本と世界の平和のために~』(光言社)