facts_3分で社会を読み解く 92

中国共産党と結託する世界的反カルトネットワーク(4)
韓国の「反カルト運動」②

パク・テソンと卓明煥

ナビゲーター:魚谷 俊輔

 去る1010日、韓国の特別検察は韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁を起訴した。
 この事件は、まだ真相が分からない部分も多いが、このシリーズでは世界的反カルトネットワークによる信教の自由に対する攻撃という観点から、この事件の背後について解説したい。

 前回から、韓国の「反カルト運動」の歴史的背景に関する説明を開始した。

 韓国におけるキリスト教反カルト運動は、パク・テソンが設立した「オリーブの木」などの運動に対する、長老派教会の反対運動から始まった。
 この「オリーブの木」から、「勝利祭壇」や「新天地」などの教団が派生した。
 これらの「カルト」の台頭は、「反キリストの兆候」であるとも捉えられた。

▲「オリーブの木」の創設者パク・テソン

 オリーブの木はほぼ破壊されたが、韓国ではエホバの証人、統一教会、そしてアドベンチスト派から派生した100万人以上の信者を擁する「神様の教会世界福音宣教協会」など、他のキリスト教系新宗教運動が盛んに活動した。

 韓国には、大巡真理会や円仏教といった非キリスト教系の大規模な新宗教も存在する。
 反カルト団体はこれらの新宗教も標的にすることがあるが、韓国の反カルト運動は主に根本主義的なキリスト教徒で構成されているため、キリスト教系新宗教運動が根本主義教会から「羊を盗む」ことに主な焦点が当てられている。

 卓明煥〈タク・ミョンファン〉牧師(19371994)は、韓国史上最も著名な反カルト活動家であり、統一教会の著名な反対者でもあった。
 彼の死後、彼の活動の成果として「国内最大の福音派団体である韓国キリスト教協議会(CCK)が2002年に発行した文書がある。その文書は、カルトや異端を根絶しなければ、韓国の教会は生き残れないと主張している。

▲卓明煥牧師

 同協議会は政府に対し、「健全な」宗教活動を促進するよう求めるだけでなく、家族や社会秩序の基盤を揺るがす「邪悪な」宗教を処罰するよう奨励している。
 これらのキリスト教徒は、政治的立場に関わらず、統一教会やその他の「カルト」を取り締まる政治家と協力する用意があった。

 韓国では「カルト」という言葉よりも、「사이비(似而非)종교」という言葉が使われることが多い。
 「似而非」の文字どおりの意味は「表では似ているようだが根本的にはそうではない」で、新宗教の中で社会に害を及ぼす宗教という意味で使われる。
 似而非宗教は健全でない宗教(社会的問題や法的問題などを起こす場合)を指すが、実際には「異端」と混同されることが多く、自分たちが異端視する宗教にこのレッテルを貼って非難することも多い。

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