https://www.kogensha.jp/shop/detail.php?id=4339

ダーウィニズムを超えて 135

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第九章 科学時代の新しい神観

(二)統一思想による新しい神観

5)ロゴスの神

2. 真空の奏でる音楽
 超ひも理論によると、素粒子は真空の中で超ひもの振動によって生まれてくるのであるが、そのとき一定の質量をもつ特定のタイプのみが許されて出てくるのであり、それはあたかもバイオリンの弦がさまざまな音色を奏でるように、真空がさまざまな粒子を生みだすのであり、それはまさに「真空の奏でる音楽」であるという。

 サイエンスライターのジョン・ホーガン(John Horgan)は、「ちょうどバイオリンの弦の振動がさまざまな変わった音色を奏でるように、ミクロのひもの振動が、物理学の領域のすべての力と素粒子を生み出す(*32)」と説明している。そしてニューヨーク市立大学のミチオ・カクは「超ひもの発する『音』が素粒子であり、超ひもの『和音』が物理法則であり、宇宙とは振動する超ひもの『シンフォニー』にたとえることができる(*33)」と言う。

 音楽とは、楽譜によって音が秩序づけられたものである。したがって真空から音楽を奏でるように素粒子や力が出てくるということは、楽譜に相当するロゴスによって素粒子や力が生み出されていることにほかならないのである。マサチューセッツ工科大学のアラン・ライトマン(Alan Lightman)は「宇宙の起源」に関して次のように語っている。

 もっと悩ましい疑問は、ビレンキンの無が本当に無かどうかということである。量子物理学の理論によると、この物理学者の真空は、それが突然吐き出すあらゆる種類の粒子についての情報でいっぱいになっている。例えば、原子より小さい粒子の中で存在できるのは、一定の質量をもつ特定のタイプだけであり、真空は何が物質化を許され、何が許されないのか、とにかく知っているに違いない。事実、量子論のある説明では、われわれの世界を占めている多数の原子以下の粒子は、真空中でもすでに幽霊のような形で存在していて、ランダムな顕微鏡的な出来事によって姿を現すのを待っているという。こう考えると、ビレンキンの無は、実際には生まれ出るのを待っている潜在的な宇宙のかすみということになる(*34)。(太字は引用者)

 ここで「真空があらゆる種類の粒子についての情報でいっぱいになっている」とか、「真空中に幽霊のような形で存在している粒子」というのも、真空の背後に粒子のデザイン(ロゴス)が作用していることを意味していると言える。

*32 ジョン・ホーガン、竹内薫訳『科学の終焉』徳間書店、1997年、97頁。
*33 ミチオ・カク「宇宙の理論」、ウィリアム・H・ショア編、桜井邦明他訳『生命の不思議、宇宙の謎』白揚社、1994年、267頁。
*34 アラン・ライトマン「宇宙の起源」、ウィリアム・H・ショア編『生命の不思議、宇宙の謎』34頁。

---

 次回は、「宇宙に開いた星の玉手箱」をお届けします。


◆『ダーウィニズムを超えて』を書籍でご覧になりたいかたはコチラ