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ダーウィニズムを超えて 134

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第九章 科学時代の新しい神観

(二)統一思想による新しい神観

5)ロゴスの神

1. ロゴスの作用
 神はロゴスによって宇宙を創造され、ロゴスによって宇宙の発展を導かれた。水の惑星である地球の誕生に関する理論で著名な松井孝典は次のように言う。

 地球の進化を規定するのに、単に冷えるということだけで言えば、その進化の方向に何らかの意志を認めるのは難しいだろう。しかしながら地球が海をつくり、大陸をつくり、二酸化炭素大気を減らすような方向へ進化してきたという事実は何を意味しているのだろう。そこに、互いに関連し合いながら進化の方向を決めてきたという意味で、一つの意志が働いているようには見えないだろうか。地球の進化とは単に熱的に冷えるということではない。あたかも地球自身が明確な意志をもっているかのように進化しているのである。その意志とは、言うまでもなく生命の誕生、それも高等生命が生まれ、繁栄しうるような快適で安定した環境をつくり出す方向である(*29)。(太字は引用者)

 ここで「一つの意志が働いている」とは、地球の誕生には目的と構想(ロゴス)があるということを示唆するものである。ジャン・ギトン(Jean Guitton)は次のように述べている。

 実在の中心に表れる「数学的秩序」を考えた場合、理性の上からは、宇宙の背後に隠された神秘は少なくとも超数学的知性だと言わざるをえません。それは計算的で、また言葉はあまりよくないかもしれませんが「関係的」です。つまりそれはさまざまな関係をつくりだしている、抽象的な、精神的なものにちがいありません。したがって実在の可視的局面の下に、ギリシャ人がかつて「ロゴス」と呼んだ知的で、理性的なものが存在し、それが宇宙を調整し、導き、動かし、宇宙がカオスでなく秩序となるようにしているのです(*30)。(太字は引用者)

 ここでは明確にロゴスが宇宙を導いていると言っている。そしてレーダーマンも「宇宙が始まるためには、時間さえ始まる以前に、すでに自然の諸法則の準備ができていたにちがいない(*31)」と言う。法則とは、ロゴスのもっている一側面である。

*29 松井孝典『宇宙誌』徳間書店、1993年、277頁。
*30 ジャン・ギトン他、幸田礼雅訳『神と科学』新評論、1992年、106頁。
*31 レオン・レーダーマン、高橋健次訳『神がつくった究極の素粒子』草思社、1997年、下巻、324頁。

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 次回は、「真空の奏でる音楽」をお届けします。


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