2025.10.20 22:00

facts_3分で社会を読み解く 90
中国共産党と結託する世界的反カルトネットワーク(2)
韓国の反宗教的な動きの背後にあるもの
ナビゲーター:魚谷 俊輔
去る9月23日未明に、韓国・ソウル中央地裁は韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁に対する拘束令状を発行した。
それ以来、韓総裁はソウル拘置所に収監されている。そして10月10日、韓国の特別検察は韓総裁を起訴した。
この事件は、まだ真相が分からない部分も多いが、このシリーズでは世界的反カルトネットワークによる信教の自由に対する攻撃という観点から、この事件の背後について解説したい。
前回説明したように、李在明(イ・ジェミョン)政権から弾圧を受けているのは家庭連合だけではなく、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領を支持した複数の保守的な宗教団体が標的にされている。
こうした韓国の反宗教的な動きの背後には、いったい何があるのだろうか。
韓国の新政権に通じていると思われる活動家たちは、フランスと日本の既存の法律に基づく新たな法令を導入し、「カルト」とレッテルを貼られた運動を迅速に解散させることを提案している。
こうした事態は全て、尹錫悦大統領が職権乱用で解任され、逮捕され、与党が大統領選挙で左派の民主党に敗北するという、特殊な政治状況の中で起きた。
李在明政権を支えている韓国の左派知識人は、韓国は宗教に対する友好的な姿勢を放棄すべきだという思想を持っている。
宗教に対する友好的な姿勢は、多くの民主主義国に共通する傾向だが、韓国は反宗教的なフランスの政策「ライシテ」を採用すべきだと考えているのである。
いわゆる「政教分離」の解釈は国ごとに異なるが、アメリカが政治と宗教の間の友好的な関係を前提とした「政教分離」であるのに対して、フランスは政府と宗教の間の非友好的な関係を前提としていることは有名である。
アメリカでは、「信教の自由」を守るための制度的保障として「政教分離」が理解されているのに対して、フランスでは国家は基本的に世俗的なものであり、教会をはじめとする宗教勢力の影響から守られなければならないと考える。
「ライシテ」は、国家と宗教の分離を確保するだけでなく、国家の価値観を宗教の影響から守ることを目指しており、国家による宗教の保護を目的としていないのである。
韓国の左派知識人は、尹政権下で起こったことは宗教による政治への不当な干渉であり、「国政壟断(ろうだん)」であるから許されないと主張している。
しかしアメリカでは、福音派がトランプ大統領を熱烈に支持して大統領選に多大な影響を与えているし、日本では創価学会が公明党を通じて政治に影響を与えてきた。
宗教団体が政治に影響を与えることは完全に合法なのである。
韓国の左派政権は、多くの先進民主主義国が採用しているこの種の国家と宗教の関係を、フランスの「ライシテ」に近いものに転換しようとしているのである。