2025.10.13 22:00

facts_3分で社会を読み解く 89
中国共産党と結託する世界的反カルトネットワーク(1)
尹錫悦前大統領を支持した宗教団体が標的に
ナビゲーター:魚谷 俊輔
去る9月17日に、韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が韓国ソウルの特別検察事務所に出頭した。そして翌18日、韓国の特別検察官は韓総裁の拘束令状を請求。これを受けて22日、ソウル中央地裁が拘束令状審査を進めた結果、「証拠を隠滅する恐れがある」として韓総裁に対する拘束令状を発行した。
それ以来、韓総裁はソウル拘置所に収監されている。
多くの教会員を驚愕(きょうがく)させたこの事件は、まだ真相が分からない部分も多いが、このシリーズでは世界的反カルトネットワークによる信教の自由に対する攻撃という観点から、この事件の背後にある状況について解説したい。
なお、このシリーズを執筆するに当たっては、イタリアの宗教社会学者マッシモ・イントロヴィニエ氏が自身の主宰するウェブ雑誌「Bitter Winter」に投稿した記事を参考にさせていただいた。
今回の事態は、7月18日に韓国の清平聖地に対する家宅捜索が入った時から一気に表面化し、急展開で進んでいった。
実は同じ7月18日に、世界最大のペンテコステ派の会衆として知られる汝矣島純福音教会に対しても強制的な家宅捜索が行われている。
さらに9月9日には、釜山世界路教会の孫賢宝(ソン・ヒョンボ)牧師が拘束された。
孫牧師は、今年初めに尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領弾劾反対集会を開いたプロテスタント系団体「セーブ・コリア」の代表である。
いま韓国で李在明政権のターゲットになっているのは、尹前大統領を支持した、あるいは支持していると疑われた宗教団体だ。さらに保守派、親米派、伝統的な家族の価値観を擁護しているなどという烙印を押された宗教も標的にされている。
筆者は9月10日から10日間にわたって韓国に滞在した。その間に韓鶴子総裁を巡るテレビ報道を現地で見ていたが、まるで3年前の安倍元首相暗殺事件が起きた後に日本で展開されたマスコミ報道が再現されたかのような既視感を覚えた。
マッシモ・イントロヴィニエ氏は、韓国は他の国々で見られるお決まりのパターンを踏襲していると分析する。
まず、人気のない「カルト」という烙印を押された集団に対して、信教の自由を制限する措置が施行される。これはメディアから容易に支持を集めることができる。
ひとたびこれがなされると、次に国家が宗教団体の内部組織に介入し、財政を精査し、献金を集める権利や政治的影響のある社会問題に関するキャンペーン活動を制限することを可能にする法的規定が、あらゆる宗教、特に権力を持つ政治家が何らかの理由で好まない宗教に対して施行される。
そしてそれに反対する宗教は、解散または清算の脅迫を受ける。
要するに日本で起こったことが、韓国で繰り返されたのである。
本シリーズでは、その背後にある「世界的反カルトネットワーク」について解説する。