ほぼ5分で読める統一運動 70
神の摂理と国連の行くべき道

稲森 一郎

 文鮮明(ムン・ソンミョン)師が、「世界と国連が行くべき道」と題して、2000818日、アメリカのニューヨーク、国連本部でスピーチされた内容は、文師とその妻である韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が主導する統一運動が、いよいよ、国連においてその役割を大きく果たしていく段階が来たことを表しています。

 その歴史的なスピーチの中で、文師は次のように述べています。

 「個人の心と体が統一されなければならない、その原理を、世界的な次元に適用、実践しなければなりません。この目的のために、私は、世界平和を具現するに当たって、心の世界を代表する『世界平和宗教連合』と体の世界を代表する『世界平和連合』と『世界平和島嶼(とうしょ)・半島・大陸国家連合』を創設したのであり、また二つの世界の調和のための『世界平和超宗教超国家連合』などを創設しました」(天一国経典『平和経』、1393ページ)

 宗教における精神文明の平和(世界平和宗教連合)と政治経済における物質文明の平和(世界平和連合)、この二つの平和(心の平和と体の平和)が調和的な関係で実現されるべきであると、文師は国連で強調したのです。

 続けてこのように語っています。

 「人間社会の諸般の問題は、根源的に、単なる政治的な問題ではないため、社会的、政治的解決だけでは常に不十分です。人間社会のほとんどは政治的に統治されていますが、その一方で、大部分の国家的、文化的アイデンティティーの根底には宗教があります。実際、ほとんどの人々は、その心の中に、宗教的な忠節のほうが政治的な忠誠よりもはるかに重要であるという認識をもっています」(同上)

 国連は政治的、経済的アプローチから平和実現を目指すだけでなく、宗教的アプローチも必要であると強調し、精神世界の指導者たちが国連に参加する機構を備えるべきであると、根本的な提案を文師は示しました。

 「体と外的な世界を代表する政治家や外交家たちの経綸(けいりん)と実践だけではなく、心と内的な世界を代表する超宗教指導者たちの知恵と努力が合わさってこそ、平和世界が完全に達成されるのです。そのような点から、国連を再構成する問題まで深刻に考慮すべき時です。両院制の形態をもった国連を考慮することもできるしょう」(同、13931394ページ)

 このような文師の提案は、国連を二院制(両院制)にすべきであり、体(政治経済)の問題を解決する機構と共に、心(宗教)の問題を解決する機構を備えたものに国連を改革するならば、世界が抱える問題をより一層解決できるようになるだろうということです。

 言い換えれば、国連を二院制にするという改革案は、体(物質)の問題だけでなく、心(精神)の問題を解決するようにしなければ、人類が抱える問題の本当の解決はできないという結論を文師は語ったわけです。

 文師の提案を機に、宗教間の対話促進というテーマがにわかに検討される空気が国連で醸成され、2004年には、「宗教間の対話促進」に関する決議案が採択されたのです。