ほぼ5分で読める勝共理論 97
台湾有事⑤
日本への影響

編集部編

台湾と日本の距離は中国よりも近い
 今回は、台湾有事が起きた場合の日本への影響について考察します。

 日本では2015年に安保法制(平和安全法制)が成立しました。そこで、台湾有事が起きたら日本はどうするのか、ということが問題になりました。

 例えば台湾有事が起きて、それが日本にとって深刻な事態であれば、日本は米軍の後方支援ができるようになりました。
 日本が戦争に参加するわけではありませんが、修理や医療活動をしたりするのです。

 「日本も米軍と一緒に戦争するのではないか」と批判した人たちもいました。
 繰り返しますが、実際に日本が戦争するのではありません。

 台湾は中国のかなり近くにあります。台湾海峡の一番近い所で130kmです。日本でいうと、東京から静岡ぐらいの距離です。中国と台湾はとても近いのです。
 中国の沿岸部には、台湾に向けた大量のミサイルが並んでいます。

 しかし実は、台湾と日本の距離は中国よりも近いのです。台湾と日本の距離は111kmです。さらにいえば、中国が台湾に侵攻しようとするときに、一番問題になるのは台湾軍ではなく沖縄の在日米軍なのです。

 アメリカには世界最強の軍隊があります。しかし台湾有事が起きてアメリカから台湾に軍隊を派遣すれば、到着までに船で23週間ぐらいかかります。
 ですから、米軍が駆け付けるまでに台湾を支配できるかどうかが中国側の最大のポイントになります。

 それ故、中国にとっては在日米軍を抑え込むことが台湾侵攻を成功できるかどうかの最大の鍵になります。だから中国としては、在日米軍が動けないように何かをするはずなのです。

 ひょっとしたらアメリカに圧力をかけて、動かないようにお金を渡したり、脅したりするのかもしれません。「動いたらワシントンに核ミサイルを撃つ」と言って脅すかもしれません。

 中国にいる日本人やアメリカ人を人質に取るとか、沖縄や東京でテロを起こすということもあり得ます。国会議事堂を爆破するとか、原子力発電所を爆破するなど、そういったこともあり得ます。

 中国本土から直接ミサイルで日本を攻撃するとか、北朝鮮に命令して、北朝鮮が持っている大量のミサイルで日本を攻撃させるということもあるでしょう。

 ちなみに日本を攻撃できるミサイルは、中国には2000発、北朝鮮には数百発あります。
 1発でも日本に向けて発射されたら大混乱になると思いますが、仮に、同時に大量に発射されたら全部撃ち落とすことは不可能ですから大問題になることでしょう。

 もちろん、そうならないようにするのが一番いいのですが、仮に台湾侵攻が始まれば、そうなる可能性が十分にあるということなのです。

台湾有事への日本の対応は?
 日本に憲法9条があることは中国にとっては何の関係もない話です。

 「日本は戦争しない国だから攻撃しない。台湾に対しては本気で攻撃するが、日本は守ってあげる。憲法9条が尊いことはよく知っている」

 そんなふうにはならないのです。

 「安保法制によって日本が戦争に巻き込まれる」と言う人がいますが、「安保法制がなかったら攻撃に巻き込まれない、日本は攻撃されない」といったようなことはありません。
 そんな丁寧なことをするのなら、初めから台湾侵攻など暴力的なことはしないでしょう。

 つまり、「台湾有事はすなわち日本の有事」なのです。戦争に巻き込まれたらどうするのかとか、そんな生易しい状況ではないということなのです。

 では、こういうことが本当に起きるかもしれない、さらに言えば数年以内に起きるかもしれないといわれる状況で日本はどうすべきなのでしょうか。

 外交努力を尽くすことはもちろん大前提です。仮に有事が起きた場合に備えた安全保障政策としてはどうしたらいいのかという話です。

 何より国民の意識が重要です。どんなに日本の自衛隊が優秀であっても政治が決断しなければ何もできません。命令がなければ動かないのです。

 政治が決断するためには国民の後押しが必要です。国民が願わないことを政治はできません。ですから結局は「国民の命を守るのは国民の意思」だということです。国民の意思が国民の命を守るのです。

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