ザ★Q&A【人生編】5

 今回は、「人生編」の第5回をお届けします。
 掲載内容は、『応答話法集』を参考に、編集部が再編集したものです。

Q. 宗教というと非科学的というイメージが強いのですが、統一原理でいう「宗教と科学の統一」とは、どういうことなのですか?

A. 宗教と科学は、歴史的に見ると闘争をくり返しきた側面があり、現代においても、 宗教と科学は相いれないものと考えられている傾向があります。しかし本当にそうなのでしょうか。

 科学はルネサンス以降、特に17世紀から19世紀にかけて急速に発達し、「科学の進歩=人類の進歩」といわれるほど、人間にとって、希望と魅力のあるものでした。

 しかし20世紀に入る頃から、科学者の中にも、科学のみに頼ることへの不安や、その中に潜む危険性を感じる人が出てきました。

 京都大学名誉教授・湯川秀樹博士(1907~1981)も、「19世紀の人々ならいざ知らず、20世紀の半ばに生まれ合わせた人間にとっては、科学は必ず人間を幸福にするであろうと言い切ることはなかなかできない」と言っています。

 このような状況の中にあって統一原理は、現代科学の限界をも指摘し、宗教による霊的復興をなしつつ、両者を統一された一つの課題として解決し、人間の真の幸福に迫ろうとしています。

 では、宗教と科学が一致し、調和した時代は歴史の中に存在したのでしょうか。
 その好例として、近代科学の創設者といわれる人々の態度を見てみたいと思います。

 ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)は、「神は人間に二つの書物を与えた。一つは聖書であり、一つは自然である」という言葉を残しています。
 科学者は自然の中に神の法則を発見しようと努力したのです。

 ヨハネス・ケプラー(1571~1630)はその著作『宇宙の調和』の末尾に、「神よ、われらが創造主よ、あなたが私に、あなたの創造物の中に美を認めることをお許しくださったことに感謝をささげ、あなたのみ手による創造物に喜びの声を上げます」と記しています。

 さらに、アイザック・ニュートン(1643~1727)がリンゴの落ちるのを見て発見した落下の法則や、天体の運行に関する論証などは、神の存在の目的論的証明として、素晴らしい説明とされました。

 以上のように、近代科学者の考えの中には、宇宙の秩序は神の手によって維持されているものであり、「神の意志」にこそ「自然の秩序」の源泉を認めるべきである、という形で、自然法則に関する知識と、神への信仰とが一致していたのです。

 彼らは、「初めに言ロゴスがあった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は初めに神と共にあった。すべてのものは、これによってできた」(ヨハネによる福音書 第11~3)と考え、また「神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と神性とは、天地創造このかた、被造物において知られていて、明らかに認められる」(ローマ人への手紙 第120節)と信じていたというのです。

 今日のように自然科学と宗教を分けて考えるようなことは一般的になかったのです。
 深い思索や静かな瞑想(めいそう)状態の中で、インスピレーションによっても宇宙の法則に対する洞察を得ていたのです。

 このインスピレーションという言葉ですが、語源的には「息を吹き込む」という意味を持っています。
 「イン」は「中に」、「スピレーション」の「スピラーレ」は「息をする」というラテン語の動詞からきています。

 ですから彼らがインスピレーションを受けた時には、自分の知の働きというよりも、神が息を吹き込んでくれたものであると感じたのです。

 ところが近代以後の思想では、神よりも人間の理性が重視されるようになり、啓蒙思想、そして共産主義思想に変貌していく中で、科学は神と全く関係のないものと見なされるようにもなっていきました。
 現代においては、科学の中で環境破壊や生命倫理など多くの課題が生ずるようになってきたのです。

 それ故に、科学の本当の使命を成就するためには、もう一度神と結び付いた考え方が必要になるのです。

 現代物理学の世界においても、次第にその傾向が強くなっており、偉大な学者(アインシュタイン、ハイゼンベルグ、湯川秀樹ら)ほど、機械論的唯物思考の限界を訴え、宗教と科学との調和を主張していたのです。

 アルベルト・アインシュタイン(1879~1955)の言葉はあまりにも有名です。
 「私には、 深い信仰を持たない真の科学者を考えることができないのです。…宗教なき科学は不具であり、科学なき宗教は盲目なのです」『晩年に想う』 講談社文庫 45ページ

 そして、文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁ご夫妻の提唱によって始まった「科学の統一に関する国際会議(ICUS)」こそは、科学の本質的な価値を追求する運動の流れといえるでしょう。

 文鮮明先生は、このように預言的に語っています。

 「宗教と科学との統一によってこそ、 繁栄と幸福と善に満ちた統一世界が実現されるのです」

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 次回は、9月19日の配信を予定しております。