世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

日韓首脳会談で見せた李氏の実用外交の危うさ

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、818日から24日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 大規模米韓合同軍事演習「ウルチフリーダムシールド」の開始(818日)。香港の民主活動家・黎智英氏の最終弁論開始(18日)。ハマス、ガザ停戦案(エジプトとカタールが提示)に同意(18日)。インドのモディ首相、中国・王毅外相と会談(19日)。第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)が横浜で開会(20日)。チベット自治区60周年記念式典に習近平主席が初参加(21日)。日韓首脳会談の開催(23日)、などです。

 石破首相と李在明(イ・ジェミョン)大統領による日韓首脳会談823日、官邸で行われました。約2時間でした。
 会談後、首脳会談の成果をまとめた「共同プレス発表」と題する合意文書が発出されました。

 その内容は、戦前の請求権問題を解決した1965年の日韓請求権・経済協力協定を念頭に、日韓関係の「基盤」の重要性を確認し、日韓関係を「未来志向で安定的に発展させていく」方針が明記されたものでした。

 繰り返しになりますが、ポイントを挙げておきます。

*日韓関係の包括的な合意文書を17年ぶりに発出

*両国関係を未来志向で安定的に発展させることで合意

*石破首相は歴史認識を巡る歴代内閣の立場の継承を表明。植民地支配への反省とおわびを盛り込んだ1998年の「日韓共同宣言」を含む

*北朝鮮の核・ミサイル開発、拉致問題の解決に向け連携して対処

*日韓、日米韓の安全保障協力を強化

*少子化対策など共通の課題解決に向け、当局間対話

 などとなっています。

 李在明大統領の来日は異例ずくめでした。
 韓国大統領の就任後、最初の訪問国が日本となるのは初めてのことです。もちろん、日本重視の姿勢の表れなのですが、米国との関係強化を目指す外交安保政策の基本方針があるためなのです。

 李氏はこれまで一貫して反米姿勢を取ってきており、在韓米軍を「占領軍(occupying force)」と呼び、「米国は日本による韓国の植民地支配を維持した」と非難していたのです。挙げれば切りがありません。

 李氏はまた、野党代表時代に対日強硬的な発言を繰り返していました。
 元徴用工訴訟問題については、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権が20233月、勝訴が確定した原告らに対し韓国政府傘下の財団が賠償金相当額を支払う方式の解決策を発表しましたが、李氏は「日本の手下になる道だ」と激しく批判したのです。

 さらに李氏は日本を「敵性国家」だ、などと公言し、尹前大統領の対日友好外交を「屈辱外交」「売国外交」と非難しました。
 李氏の「実用主義」は「外では右寄り」「うちでは左寄り」となっていると産経新聞の黒田勝弘氏は指摘します。(産経823日付コラム)

 国内には政治報復の嵐が吹き荒れ、首相や与党代表に反米の活動家上がりが就任し、労組重視の政策など左傾化が目立ちます。しかし外交は「保守」なのです。

 李氏の支持層である左派には、こうした対応に不満を持つ人も多く、批判の声が上がっています。
 李氏の実用主義、実用外交とは理念なき外交であり、その場しのぎの外交に過ぎません。内外に通用するはずがないのです。



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