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神様に愛された日 42

 『神様に愛された日』を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 「私が出会った神様の真の愛」をテーマに家庭連合の教会員による応募作品から選ばれた証し(テスティモニー)をまとめた作品集。心が温かくなる証しの数々をBlessed Lifeでもお読みいただけます。(一部、編集部が加筆・修正)

(光言社・刊『神様に愛された日-48のテスティモニー』〈2010219日第2刷発行〉より)

第四章◆父母の愛

【幸せの記録41】
破壊されることのない宝

Kくんへ。

 あなたは、おなかにいたとき地球を半周し、ザイール(現・コンゴ民主共和国)で誕生しました。ザイールでは珍しい日本人の赤ん坊のあなたが誘拐されないよう、徹夜で守ってくれたザイールの人々でした。

 それというのも、当時、外国人新生児の誘拐事件が頻発していたからです。

 あなたが生まれた美しい都市キンシャサが、昨年、無惨にも破壊され、頑丈なキンシャサ一のスーパーマーケットもバズーカ砲で窓枠も何もない廃墟(はいきょ)となり、あなたが生まれたガリエマの病院はたくさんの負傷者で埋めつくされました。

 そのようすをCNNのニュースで見た時、思わずテレビの前で号泣してしまいました。

 多くのザイール人たちが職場を放棄し、あるいは略奪者へと転じる中、お父さんの経営する会社のザイール人従業員がみな、お父さんの身を心配して集まり、全員で日本大使館まで送ってくれました。

 駐ザイール日本大使は、命懸けで日本人を守ってくれた貴重なザイール人だと驚き感激していました。暴徒の襲撃を恐れてザイール人の運転手はみな逃げ出していたので、大使館員が危険を冒して邦人救出に当たっていたのです。

 十有余年のお父さんの汗と涙の結晶である会社やレストラン、店舗等はすべて破壊されましたが、ザイール人の心に忘れ得ぬ思い出を残しました。

 過酷な環境の中、健康だけが取柄だったお父さんは何度もマラリアにかかり、身体がガタガタになりながら、貧しいザイール人の痛みと悲しみを理解し、ザイール人のために生きたのです。

 お父さんの生きざまは何ものにも破壊されることのない宝です。

 あなたも小さい頃(ころ)は、一年か二年に一度のお父さんの帰りを待ちわび、お父さんが日本を去る時は、

 「行っちゃいやだ」

 と駄々をこね、お父さんから離れようとしませんでしたが、大きくなるにつれて、口をへの字にしてくるりと後ろを向き、目にいっぱいの涙を浮かべながら、バイバイと手を振っていましたね。

 でも、お父さんからの密度の濃い愛を受け、それが力になって勉強やスポーツに頑張りましたね。

 お父さんの無言の後ろ姿を見ていたあなたは、他の国の人を愛することの厳しさと哀しみと、そしてそれ以上に喜びが分かり始めましたね。

 あなたも、日本の視点ではなく神様と世界の視点に立って、お父さんのように人のために生き、多くの人々に感謝されるような、何ものにも破壊されることのない宝を積んでいってほしいと思います。

(女性 50歳)

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 次回は、「かみさまがつくったしぜん」をお届けします。


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