2025.07.12 22:00
供養を考える 1
『グラフ新天地』2005年8月号に掲載された特集記事を、編集部が再編集してお届けします。
故人をいつまでも心に刻む
一般的に霊を弔う行為を「供養」といいます。供養には、慰霊祭の他に法要や墓参りなどがあります。
今回は、古くから行われてきた供養について考えてまいります。
お墓参りを大切にする日本人
日本では毎年、8月13日から15日を中心とした一週間、各交通機関はたいへん混雑します。お盆休みを故郷で過ごそうという人々が、一斉に移動するからです。
帰省客の中には、休みを利用して家族旅行を楽しむ人々もいます。しかし、多くの帰省客が主な目的としていることは、故郷での墓参りです。
8月13日、一族がそろって墓参りをします。この墓参りには、「先祖の霊を迎えにいく」という意味があります。こうして先祖の霊と数日間を共に過ごし、16日には“送り火”で再び、先祖の霊を霊界へと送ります。これが伝統的なお盆の過ごし方です。
家人が亡くなってから初めて迎えるお盆を「新盆(初盆)」といい、特に丁寧に供養します。お供え物には、故人の好物が並べられます。親族のほかにも、故人と縁のあった人を招き、僧侶に読経してもらい、精進料理でもてなします。
このように、人は古来、霊界の存在を信じ、霊となった先祖を大切にしてきました。形式は違っても、世界中で先祖を供養する儀式が行われてきたのです。
どのような形式であるにせよ、それが先祖の霊のために行われるのですから、まずその霊が「何を望んでいるのか」ということを知ることが、先決ではないでしょうか。
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次回は、「供養の本質は愛の恨みからの解放」をお届けします。