2025.07.05 22:00
ほぼ5分で読める統一運動 57
宗教と政治は理想社会を実現する心と体である
稲森 一郎
1991年8月27日の「世界平和宗教連合」創設大会と、その翌日28日の「世界平和連合」創設大会が韓国・ソウルで連続的に挙行され、文鮮明(ムン・ソンミョン)師は創設者のメッセージとして次のように語りました。
「今回、私たちが創設した世界平和のための二つの組織は、国家権力が主導してつくられたものではありません。真の平和の道は、そのようにして訪れるのではありません。
私たちは、宗教と文化、そして、皮膚の色の垣根を越えて『神主義』のもとで新組織をつくりました。心と体が一体調和をつくり出してこそ理想体になるように、『世界平和宗教連合』と『世界平和連合』が、『神主義』を中心軸として調和、協力、一体を成し遂げることが真の平和世界へ行く統一方案です。全体の心の世界と全体の体の世界を代表するこの二つの機構が、神様の真の愛で調和統一を成し遂げれば、それがすなわち理想社会になるのです」(『真の御父母様の生涯路程⑨』、279~280ページ)。
この宣言は、二つの組織が、一方は心を代表し、もう一方は体を代表することを述べたものです。
文師は、この二つが神の真の愛を中心として調和統一を成し遂げるならば、それが理想社会になると明確に述べ、理想社会の様態を明らかにしました。
心(宗教)と体(政治)が一体調和をつくり出す時に理想社会の実現が可能になるのであり、心(宗教)だけで理想社会ができるのでもなく、体(政治)だけで理想社会ができるのでもないということです。
心(宗教)の健全な役割を失えば、精神文化、道徳・倫理の文化が失われ、家庭の軸、社会の軸、国家の軸が揺らいでしまいます。
体(政治)の健全な働きが機能しなければ、衣食住の物質文化、経済的側面を支える科学文化の恩恵が全体に行き渡らない極端な格差が生じ、平準化理想を実現することはできないのです。
結局、心と体の両方が宗教と政治という形でその使命と責任を果たすこと以外には、理想社会の建設は不可能であるという結論になります。
21世紀に入って理想世界の夢は多く語られましたが、いまだに理想的社会は実現の運びに至っているとはいえず、かえってますます混迷を深めている様相にあります。
とりわけ世界のリーダー国として力を振るってきたアメリカ国民の亀裂は深く、トランプ大統領の誕生を喜ぶのはいいとしても、簡単にアメリカを再生させることができると期待することはできません。
それほどアメリカの傷は深く、文鮮明師が指摘されるように、心(宗教)と体(政治)の両面からトランプ革命は遂行される必要があるのです。
日本は、日米同盟の陰に隠れて、自ら国家の安全保障、防衛力を担う責任をうやむやにしてきました。世界一安心安全な国と世界がはやし立てる声に流されて、気が付けば、中国など外国勢力からのばい菌(スパイ)が政治、経済、言論、全ての分野でまん延する状況を許してしまっています。
日本国民は今、政治倫理、経済倫理、言論倫理の崩壊、倫理という倫理が音を立てて崩れ去ってしまった現実を目の当たりにしています。日本は精神の弛緩があまりにもひど過ぎます。
韓国も同様です。政治の不安定が国家および国家経済と民心に与える影響力は甚大です。その混乱ぶりは末期的な状況です。
このように、日韓米、三つの民主国家を襲うシンクロニシティ(共時性)は、いずれの国も心(宗教)と体(政治)の両方を癒やさなければならない最終的段階に直面していることを物語っています。