シリーズ・「宗教」を読み解く 43
9.11追悼の祈り

ナビゲーター:石丸 志信

 前回、グラウンド・ゼロを訪問したのは、11年前。2007年9月10日から13日、ニューヨークで開催されたUPF(天宙平和連合)総会の時だった。
 事件から6年目に当たる会議二日目の夜、日本から参加した宗教者と共に追悼の祈りをささげるため現場に向かった。

 そこは、今見るメモリアル&ミュージアムの建設整備が進められていたが、同時多発テロの悲劇の現場として悲しいムードが漂っていた。工事現場のフェンスには、花束や写真、メッセージカード、国旗などが供えられ、かつてツインタワーが立っていたことを示す二本のビームが暗闇の天を貫いていた。

▲写真は、2007年当時のグラウンド・ゼロで撮影したもの

 たくさんの人々が集まる中、同じ会議に参加していた米国の牧師グループも来ているのが見えた。私たちは、彼らと共に輪になって祈ることにした。
 輪の中で、二人の日本人僧侶が読経の声を響かせ、牧師が祈祷した。親族や友人のことを思ってその場に来ていた人たちも自然に祈りの輪に加わった。

 打ち合わせたわけではなかったが、くしくも、同じ思いで同じ時間に、仏教、キリスト教の指導者が合流して、犠牲者を追悼するとともに平和のため祈ることができた。

 平和は祈りから始まることを共に実感したひとときだった。