2025.04.19 22:00
アングル~情報戦に勝て。155
日本にも「常識の革命」が必要?
今や「家庭連合(旧統一教会)」を巡る議論は、一宗教団体、特定の宗教に限定されたものではなくなっている。
政治の問題であり、法律の問題であり、社会、文化、宗教の問題であり、人の生き方の問題となっている。
家庭連合の行方は、これからの国家の在り方、世界の行方と直結する課題となっているといったら、言い過ぎだろうか。
今回紹介するのは、世界日報(2025年4月10日、11日、12日付)掲載のインタビューfocus欄「宗教学者・大田俊寛氏に聞く(上)(中)(下)」。
大田俊寛氏のインタビュー記事は、読んでいて合点がいくものが多い。
宗教学者としての冷静で深い洞察、検証を大事にする視点。学者として当然といえば当然だろうが、偏見と偏向が渦巻く社会の現状にあって、氏の持つ「常識」的な観察と分析と判断は、聞く者の心を直(なお)くする。
東京地裁による家庭連合の解散命令の決定に対してはこう指摘する。
「情報を可能な限りオープンにしながら慎重に状況を吟味し、議論と熟慮を重ねた上で決定を下すべきだったのではないか。家庭連合の信者をはじめ、多くの人々にとって腑(ふ)に落ちる決定を提示できていないようであれば、最終的な問題の解決には繋(つな)がらず、後顧の憂いを残す可能性もある。この決定が将来、逆に問題を拡大・拡散させてしまうという結果を招くかもしれない」
政府に対応については以下のように述べている。
「宗教問題が生じた場合の国家対応の理想的な形態とは、被害者側と教団側の双方から十分に聞き取りをした上で、まずは教団に対して適切な『是正勧告』を行い、それでも改善が見られない場合は一定の『観察処分』を下し、どうしても問題が解決しない場合は最終的に『解散命令』に踏み切るといった、慎重で柔軟な手続きを踏むことにある。ところが今回の日本政府の対応は、遺憾ながらこうした理想的な形態から大きく外れてしまっているのではないだろうか」
家庭連合に対してはこう指摘する。
「近年の家庭連合は、教団に対する理解を得るためにさまざまなPRを行っているが、私自身はその中で、『地上天国の建設』という中心的理念についてあまり触れられていないことに疑念を持っている。このテーマについて丁寧に説明し、一般社会との間で率直な議論が交わされない状態では、教団への理解が深まり、全体的なイメージが変わるということも起こらないだろう」
宗教学者・大田俊寛氏のインタビューは実に学びが多く、示唆に富んだものだ。
インタビューの全文を漏れなく読んでいただきたい。
トランプ氏は大統領の就任演説で「常識の革命(revolution of common sense)」という言葉を使った。
今の日本こそ、これが必要なのかもしれない。
「アングル」のおすすめ記事はこちらから。
★宗教学者・大田俊寛氏に聞く(上)
国家関与は「信教の自由」への干渉
★宗教学者・大田俊寛氏に聞く(中)
「地上天国」についての説明と再考を
★宗教学者・大田俊寛氏に聞く(下)
拉致監禁が暗黙裏に正当化
(則)