2025.04.16 22:00
内村鑑三と咸錫憲 19
高句麗滅亡以来、ひたすら下降線をたどった韓民族の歴史
魚谷 俊輔
韓民族選民大叙事詩修練会において、内村鑑三が近代日本の偉大なキリスト教福音主義者として紹介され、その思想が弟子である咸錫憲(ハム・ソクホン)に引き継がれていったと説明された。
咸錫憲は文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁が若き日に通われた五山学校で教師を務めた人物だ。そこで内村鑑三から咸錫憲に至る思想の流れを追いながらシリーズで解説したい。
咸錫憲の著作『意味から見た韓国歴史』は四部構成になっていて、その第二部と第三部が、古代から6・25動乱に至るまでの全韓国史の解説とその解釈にあてられている。それは242ページにわたり、全体の64%に当たる。
韓国の歴史を全く学んだことのない日本人にとっては、一つ一つの史実に対してイメージが湧かず、読むのに苦労するだろうと思われる。
私の場合には韓国ドラマの歴史ものにはまっていた一時期があり、「朱蒙」「大祚榮」などを通して高句麗の建国とその滅亡について知ることができたし、「龍の涙」「大王世宗」などを通して朝鮮王朝初期の様子、「許浚」を通して16世紀の李氏朝鮮、「イ・サン」を通じて18世紀の李氏朝鮮、「明成皇后」を通じて朝鮮王朝末期の様子をイメージすることができたので、部分的にはその記述に付いていくことができた。
一方で、「太祖王建」を見ていれば高麗建国の歴史を知ることができ、「不滅の李舜臣」を見ていれば豊臣秀吉の朝鮮出兵当時の韓国の様子が分かり、「死六臣」を見ていれば当時の様子がもっとよく分かっていたかもしれないが、残念ながら見る機会がなかった。
こうした基礎知識も、咸錫憲の著作を読む上では必要だろう。
咸錫憲の歴史観によれば、朝鮮民族の歴史はひたすら下降線をたどっている。
韓国の歴史区分は大まかに「先史時代」「三国時代(新羅・高句麗・百済)」「統一新羅時代」「高麗時代」「李氏朝鮮時代」「日帝時代」「現代」に分けられるが、民族の精神が覚醒したのは「三国時代」であって、特に高句麗が重要な使命を持っていた。
ところがその高句麗が三国を統一することなく滅びてしまったために、ハナニム(하나님/韓国語で“神様”の意味)の脚本が途中で変更されてしまったという。
それは本来あってはならないことであり、五千年の歴史で最も心の痛む出来事だったというのである。
従ってその後の歴史は本来のものにはなり得ない。
新羅による統一は本当の統一ではなく、高麗の歴史も中国の奴隷になった失敗の歴史であったと切り捨てている。だからこそ高麗は契丹や蒙古などの外敵の侵入を受けることになった。
李成桂(イ・ソンゲ)による朝鮮王朝も「中軸の折れた歴史」であり、「受難の五百年」であったとされる。
その中で世宗のような英明な王が現れたとしても、民族の魂をよみがえらせることはできなかった。
「死六臣」のような義人の血が流されたのも、時代の不義を表すためであったという。
そして極め付きが、日帝36年と同族相争う6・25動乱である。
これがハナニムの最後の試験問題であり、民族はそこから再び立ち上がるのである。