青少年事情と教育を考える 40
「中1ギャップ」とは

ナビゲーター:中田 孝誠

 昨年度、小中学校の不登校の児童生徒は14万4031人で、前年度より1万人余り(7.7%)増加したことが、文部科学省のまとめで分かりました(平成29年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査)。これは小中学生全体の1.5%に当たります(小学生0.5%、中学生3.2%)。

 不登校児童生徒とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間 30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義されています。

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 不登校のデータの大きな特徴は、中学生になる段階で急増していることです。文科省の調査では、小学6年生では1万894人ですが、中学1年生になると2万7992人になります。一気に2.5倍に増えるわけです。

 なぜ、中学校に進級すると不登校が増えるのか。
 原因として言われているのは、中学校で大きく環境が変わり、大きな壁を感じて学校生活になじめなくなるからではないかというものです。いわゆる「中1ギャップ」と言われるものです。

 ただし、小学校の時に不登校になって、そのまま中学校に進んだ子も少なくないため、実際に中学1年生になったから不登校になったという子がここまで急増しているわけではないという意見もあります。

 そうは言っても、不登校の子が増えていることは事実です。また、いじめの認知件数は小学校だと6年生まで減少しますが、中1になると増加します。暴力の加害児童数も小6から中1になると増える傾向にあります。

 なぜこの年代でつまづきがあったり、さまざまな壁があるのか。
 子供の心身の発達から、「中1ギャップ」、さらにはこれと関係する「10歳の壁」について、次回も引き続き考えてみたいと思います。