「幸せな結婚」を考える 42

第9章 結婚生活の本当の幸せ

結婚ビフォーアフター(2)

ナビゲーター:長岡 高史

 結婚による環境の変化とは何でしょうか? それは生活全てが愛の実践の場になる、ということです。

 恋愛期間は、いわばデートの1日のみが愛の実践の場です。その時だけ「よそ行きモード」に切り替えれば楽しいひとときを過ごせます。その前日に何をしようが、デートの後に何をしようが、二人の関係に大きな影響を及ぼすことはありません。

 しかし結婚はそうはいきません。極端な表現をすれば24時間、365日、毎日が相手を愛する実践の場なのです。そこにうそも演技も通用しません。素の自分でぶつかるしかないのです。

 「そんなに気を張り詰めてられない! 結婚は大変!」。恐らくこれは事実でしょう。そしてこの事実は、既に世の多くの人々が理解をしているところです。「晩婚化」や「非婚化」の現状は、結局は全て「結婚生活は大変だ。恋愛のように自由にはいかないぞ」という「結婚の現実」を知っているが故の世の動きと言うことができます。

 しかし、ここで一つ、見落としてはいけない真実があります。それは、「結婚が難しい」のではないのです。真実は「結婚が難しいのではなく、人を愛することが難しい」のです。

 人を愛することは素晴らしいことです。愛することも、愛されることも、どちらも最高の喜びを与えてくれます。しかし、全てがうまくいくわけではありません。愛は対象があって初めて、成立するものだからです。相手のためにと思って100%投入しても、相手に届かないことはよくあります。それは時に、痛みとなり、苦痛となり、自分の心に突き刺さることもあるのです。