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誤解されたイエスの福音 26

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「誤解されたイエスの福音」を毎週金曜日配信(予定)でお届けします。
 パウロのイエス観は果たして正しかったのか。イエス・キリストの再臨期を迎えた今、聖書の記述をもとに徹底検証します。

野村健二・著

(光言社・刊『誤解されたイエスの福音』〈2011111日初版第1刷発行〉より)

第二章 イエスの本来の使命

五、イエスの復活をめぐって

家庭の重要さ
 もう一つ重要な問題は、生活の基盤を「個人」に置くか、「家庭」に置くかということです。

 これまでの宗教は独身(個人)を保つことを原則とするものが多かったようです。パウロも「男子は婦人にふれないがよい。しかし、不品行に陥ることのないために、男子はそれぞれ自分の妻を持ち、婦人もそれぞれ自分の夫を持つがよい」(コリントⅠ712)。「わたしとしては、みんなの者がわたし自身のようになってほしい。…未婚者たちとやもめたちとに言うが、わたしのように、ひとりでおれば、それがいちばんよい」(同778)と言いました。

 それに倣(なら)って、カトリックの司教や司祭は独身制を採っていくようになり、修道士や修道女も独身です。東方正教会でも叙階(任命)後の司祭と輔祭(ほさい/司祭の補助役)の妻帯は認められず、独身の司祭だけが主教になれます。宗教改革後のプロテスタントの時代になって、牧師は奥さんを持つようになりました。仏教を創始した釈尊も結婚していましたが、出家した後は一生独身を通し、その伝統を受け継いで、一般の信徒には不邪淫(結婚した伴侶以外の異性との性的関係の禁止)の掟(おきて)が課されただけですが、僧侶には梵行(ぼんこう/すべての性行為の厳禁)の掟が課されていました。現代の自由社会となるまでは、例外的に親鸞(しんらん)などが「非僧非俗」という独自の思想によって妻帯したにすぎませんでした。

 しかし、文鮮明(ムン・ソンミョン)師は「個人」では絶対に天国に入ることはできないと言われます。

 「何がどうだと言っても、一人で生きるのが幸福ですか。……一人で自分の行く道を準備できるでしょうか」、「夫婦のうち、一人が死ねば悲しくてわあわあ泣くのです」(『天聖経』「真の家庭」483頁)。「この地のすべての人間が、幸福の基盤は家庭だと……感じています。父母がいない子は孤児と呼ばれ、……かわいそうな人として扱われます」(同519頁)。

 この教えが正しいとすれば、聖職者が「個人」(独身)のままだということも、神の第一次摂理の「天国」へ直行する道ではなく、洗礼ヨハネのエリヤの使命否定とマリヤなどの無関心さのためにイエスが結婚できなかったことから来る第二次摂理──「楽園」の道だと考えなければなりません。

 ヨハネとマリヤの失敗によって、イエスの信徒(キリスト教徒)も、イエスの実子となることが不可能となり、霊的には上が見えても、肉的には最上限でアダムの堕落の時の14歳基準(長成期完成級)にしか到達できず、その未完成基準のままで神が彼らすべての自由な結婚を認めれば収拾がつかない混乱の生ずる恐れがあったので、第二次摂理の中心を担う司教、司祭、僧侶といった指導層だけは独身のままでトラブルの原因となる性行為をいっさい行わないように神がはからわれたのだと見るしかありません。

 以上のことから、楽園の特徴には、今までに述べた、最高14歳の肉的基準と霊肉分離ということに、「個人(独身)にとどまる」ということをつけ加えなければならないと思われます。

 文鮮明師は、「楽園は、いくら仲むつまじい夫婦や父母、子女でも、別れて入る所です。家庭とは何の関係もありません」(同523頁)とし、「創造原則による天国は、家庭を中心として入る所です。父母が入り、子女が入り、自分の一家全体、一族が入ってこそ幸福なのであり、父母は地獄に行き、子女だけが天国に行くなら、それが何の天国でしょうか」(同524頁)と言われます。

 すなわち、イエスは最善を尽くされましたが、天国に至る第一次摂理を断念して、楽園を実現する第二次摂理を完成させただけで、後のことは再臨の時に任せるしかなかったのです。そのため、キリスト教の教えも個人単位で家庭を土台とするものではなくなったのです。この再臨の役割を果たそうとするものこそ統一教会(世界基督〈キリスト〉教統一神霊協会)なので、統一教会は家庭を重視するのです。

 文鮮明師は次のように言っています。「ですから、今までの宗教は独身生活を強調しましたが、統一教会は、家庭を重要視するのです」(同515頁)

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 次回は、「再臨主──イエスの第一次摂理の完成者」をお届けします。


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